TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#2】マイシンデレラフィット

執筆:三浦透子

2024年10月16日

私は部屋の収納を考えるのが好きです。
大事にしているのは
見かけの美しさにこだわらないこと。
いくらシンデレラ並みにフィットしていても、
日々の生活導線を考慮した、
生活の効率化を図る物の配置でなければ意味がありません。
その状態を保てなくなるから。
どこに何を置けば良いか、ここにはものすごく時間を使います。
家にあるものを全部見えるところに並べて、
3日くらい足の踏み場がない感じにしてでも考える。
最初がものすごく肝心です。

次に収納のための道具を買い揃えます。
買い物は百均が基本です。
世の中は物に溢れているから、
理想の幅、奥行きのものって必ず存在してしまう。探し出すとキリがない。
生活を豊かにする為のものにお金と労力を使いすぎるのは、
私の基準では、ちょっとやりすぎです。

何をどこに置くかが決まり、道具が買い揃ったら、
そこから先はパズルです。
本当のところ、このパズルがしたいから百均で買うというルールを設けているのだと思います。
先に食べたいものを考えてからスーパーに行くのと
冷蔵庫の中にある食材で何が作れるかを考える
この違いです。
私は後者の方が面白い。
条件を与えられた中で何かに取り組む方が楽しいと感じます。
これがあったらいいのに、と簡単に思ってしまうけど、結構なんとかなります。
それに、そうして出来たものは意外と美しかったりもする。

“足りない”をやりくりする過程を大切にするというのは、
日頃から意識していることです。
それを楽しめる性格だというのもあるけれど、
なにより、自分にとって本当に必要なものがわかるようになるから。
時間もお金も有限です。
かけたらかけただけ質が良くなるという単純なグラフでもない。
だからまずは少ないところから。
目先の手頃さや簡単さに騙されないように注意しながら、
今あるものに感謝を忘れず、
本当に価値があると感じられるものをひとつひとつ探していきたい。

プロフィール

三浦透子

みうら・とうこ|俳優、歌手。1996年、北海道生まれ。2002年、「なっちゃん」のCMでデビュー。第94回アカデミー賞の国際長編映画賞に輝いた『ドライブ・マイ・カー』では、三浦個人としても第45回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の賞を獲得するなど、国内外で注目を集める。近年の主な出演作に、主演映画『そばかす』、ドラマ『エルピス‐希望、あるいは災い‐』をはじめ、数々の作品に出演。歌手としても活躍しており、11月29日(金)には自身初となるワンマンライブ「三浦透子 at Billboard Live TOKYO 2024」が開催予定。