カルチャー
6月はこんな本を読もうかな。
梅雨で外に出たくない日に読みたい7冊。
2021年6月1日
text: Keisuke Kagiwada
『ヒッピーのはじまり』
ヘレン・S・ペリー(著)、阿部大樹(訳)
1960年代後半にアメリカの西海岸で産声を上げたヒッピー・ムーブメント。本書は、黎明期よりその渦中にいた人類学者による観察記だ。今やヒッピーと言えば、LSD大好きで菜食主義者、みたいな画一的なイメージに還元されがちだけど、もともとは一筋縄ではいかない多様性があったんだなぁ。ということがよくわかる。¥2,970/作品社
『にっぽんセクシー歌謡史』
馬飼野元宏(著)
「お色気歌謡」を知っているだろうか。昭和初期から頭角を現し、高度経済成長時代に一世を風靡した音楽ジャンルである。奥村チヨや山本リンダが、その筆頭と言える。そんなセクシー系歌手のルーツを探り、その進化と変貌のプロセスを検証した1冊。果たして、「お色気」が日本の歌謡シーンに与えた影響とは? ¥2,200/リットー・ミュージック
『ブリーディング・エッジ』
トマス・ピンチョン(著)、 佐藤良明、栩木玲子(訳)
ポール・トーマス・アンダーソン監督によって映画化された『LAヴァイス』(映画のタイトルは『インヒアレント・ヴァイス』)の原作者、トマス・ピンチョンの最新作。テーマは9.11同時多発テロだ。ITバブルは弾けた新世紀のNYで、巨大な陰謀に巻き込まれる元不正検査士の女性の姿が描かれる。ヒトラーが使ったひげ剃り後ローションに執着する男を始め、今回もピンチョンらしい変な奴らが大集合。¥4,510/新潮社
『27クラブ』
ハワード・スーンズ(著) 萩原真理(訳)
才能あるミュージシャンは27歳で死ぬという神話がこの世にはあり、この年齢で亡くなった者たちは“27クラブ”のメンバーだなんて言い方がされる。ブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリン、ジム・モリソン、カート・コバーン、エイミー・ワインハウスがとりわけ有名なメンバーだ。偶然の他に、彼らを結びつけるものは何か? これを読んだらわかるかも。¥3,960/作品社
『〈アメリカ映画史〉再構築 社会的ドキュメンタリーからブロックバスターまで』
遠山純生(著)
1920年代から1970年代までのアメリカ映画史を、日本ではこれまで取り上げられることが少なかった監督たちに光を当てながら再構築した、映画好きは必読な1冊。特に気になったのは、写真家から映画監督へと転身したというヘレン・レヴィット、モリス・エンゲル&ルース・オーキン夫妻。やー、アメリカ映画って本当に奥が深いですねぇ。¥6,930/作品社
『ツボちゃんの話 夫・坪内祐三』
佐久間文子(著)
博覧強記、生き字引、碩学の徒。そんな表現を体現した坪内祐三さんが、亡くなって1年以上が過ぎた。こちらは坪内さんの妻である著者が、彼との記録を赤裸々に綴った1冊。いろいろとのっぴきならなかったらしい日々の中から鮮やかに浮かび上がってくるのは、「怒りっぽくて優しく、強情で気弱で、面倒だけど面白い」という坪内さんの生きざま。うーん、とても素敵な読後感。¥1,870/新潮社
『パッサカリア』
ロベール・パンジェ(著)、 堀千晶(訳)
映画監督としても活躍したアラン・ロブ=グリエ、ノーベル文学賞を受賞したクロード・シモン、二人称代名詞を用いた『心変わり』で知られるミシェル・ビュトール、“意識の流れ”を突き詰めたナタリー・サロート。いずれも1950年代にフランスで勃興した前衛文学運動ヌーヴォー・ロマンを率いた小説家だ。この4人は日本でも比較的によく知られているが、まだ未紹介のキーマンがいたらしい。こちらはそんなミッシングリンクであるロベール・パンジェの代表作。あらすじは要約不可能だから、とにかく読んでみよう。¥2,200/水声社
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