フード

玉ねぎを飴色にしない、カレー。

定番料理のニューディール。Vol.5

photo: Haruki Anami
illustration: Cari Vander Yacht
text: Ryota Mukai
2024年9月 929号初出

2024年8月10日

 本誌で始まった新連載「定番料理のニューディール」。みんなが好きなお決まりのメニューを再考し、カンタンに、そしてちょっとお洒落に作る方法を料理人の原川慎一郎さんが提案します。POPEYE Webではそのレシピをムービーでご紹介。第5回はカレー!

6種のスパイスが様々なバランスで効いてくる。ときに辛く、ときに爽やかに、ひと口とて同じ味はない一皿。カレーによく馴染んだほうれんそうの甘味もいいアクセントに。「真夏の昼下がりに冷たいビールでも飲みながら、ぜひ」

– 材料(2人分)-

・米 150g
・水(ライス用) 150㎖
・鶏肉 300g
・ほうれんそう 4株
・玉ねぎ 1/2個
・ミニトマト 6個
・トマト缶
・ヨーグルト 100g
・マーマレード 1
・カレー粉 2
・クミンシード 1/2
・コリアンダーシード 1/2
・キャラウェイシード 1/2
・クローブ 3個
・カルダモン 1個
・鷹の爪 1個
・にんにく 1片
・しょうが にんにくと同量
・塩 適量
・小麦粉 1
・菜種油  適量

– 作り方 –

1. まずは炊飯。カレーに水分があるので、水は少なめにして硬めに仕上げましょう。家にあればターメリックパウダー(大1)と一緒に炊くのもいいですよ。

2. ひと口大にカットした鶏肉に、表裏全体に行きわたるように塩、カレー粉(大1)、小麦粉、菜種油(大1)をかけてしっかり揉み込みます。

3. ほうれんそうはざっくりカットし塩茹でします。塩は多めに入れてくださいね。茎までしんなりするくらい、5分ほど茹でます。

4. 玉ねぎは粗めのみじん切りに、ミニトマトは8等分に。トマト缶だけでなく、ミニトマトを加えることでトマトの食感が残るんです。

5. フライパンを中火にかけて菜種油(大4)を温め、泡立たないうちにカレー粉以外のスパイスを入れます。小皿にとっておくと調理が楽ですよ。

6.スパイスの香りが立ってきたら、玉ねぎを加えます。この段階では塩は入れなくて大丈夫です。玉ねぎから水分が出てしまい、炒めにくくなってしまいますから。玉ねぎが焦げてしまわないようにときどき軽く木べらを使って混ぜてあげてくださいね。黄色く透き通ってきたら、にんにくとしょうがをすりおろしてフライパンへ。馴染ませると一気にカレーらしくなってきます。

7. 鶏肉を入れて両面を焼きます。ぷにゅぷにゅしてきたら追いカレー粉(大1)と塩(小1)を。トマト缶とミニトマト、ほうれんそうを加えて煮ます。

8. 鶏肉の内側まで火が入ったら弱火に。ヨーグルトを入れてよく混ぜ合わせます。最後にマーマレードを加えて、混ぜ、盛り付けます。

– 今月の古来種 –

玉ねぎを飴色にしない、カレー。

とっちゃ菜

兵庫県の在来種。フダンソウ(スイスチャード)の仲間の葉野菜。「『ひょうごの在来種保存会』の代表だった山根成人さんから、雲仙の岩崎政利さんが種を引き継ぎ、今でも大切に作られています」 

古来種野菜とは? 品種改良されず、日本各地の畑で長きにわたり受け継がれてきた種の野菜のこと。在来種ともいわれる。「野菜の民芸品のようなものです」

– 小さな流儀 –
安定感のあるすりおろし器を。

 にんにくや生姜をすりおろすのに愛用しているのは、アメリカの工具メーカー〈マイクロプレイン〉のゼスター「MP-053」。「滑り止めがついた先端をボウルの底に押し付けるとブレずにすれますし、とても便利」

プロフィール

玉ねぎを飴色にしない、カレー。

原川慎一郎
『BEARD』店主

はらかわ・しんいちろう|1978年、静岡県生まれ。長崎県雲仙市でレストラン『BEARD』を営む。北海道函館市のカフェ『cafe water』のオーナーでもある。

Instagram
https://www.instagram.com/beard_shin_harakawa/