ライフスタイル

伝説の評論家の遺志を受け継ぐ自動車部。

2024年6月2日

車はともだち。


photo: Naoto Date
text: Shintaro Kawabe
2024年6月 926号初出

成城大学自動車部
1950年代に始動した歴史ある文化部。部員数の低迷から廃部に陥るが、小河さんを中心とした幹部たちの2年間の熱心な活動の甲斐あってこの9月に部として正式な認可が下りる。〈カーサービス〉のデザイナー橋本奎くんの妹さんなど、期待の新入生も在籍している。

 アウトビアンキを披露する小河昭太さんの取材中、「実は僕、日本を代表する自動車評論家・徳大寺有恒さんがOBの成城大学自動車部の部長でして」と気になる一言が。活動を見学するため、向かったのは大井町の整備工場『SHADOW in the knack yard』。ゾロゾロと集まった12人の部員たちは、ボンネットを開けてエンジンを眺めながら談笑したり、メカニックと車談議に花を咲かせたり、車を囲んで本当に楽しげだ。そう、自動車部といってもレースへの出場だけが目的ではない。活動内容はMVなどの撮影用車両の手配や、車のイベントのお手伝い、愛車でのドライブなど、どうしたら車と楽しく向き合えるかを主眼に、活動は多岐にわたる。「今後は伊勢原グラウンドの倉庫を借り、活動の幅を広げていきます」。大先輩の背中を追いかけるように、情熱の灯火は継承される。

TOYOTA/PROBOX

 加藤介さんの愛車は、特別仕様車F エキストラ パッケージ リミテッドでは希少なマニュアルタイプ。「中学生の頃から、プロボックスの商用車らしいシンプルなデザインが好きです。でも、車映画の中では、『トランザム7000』などの派手なカーアクション好みです」

MAZDA/EUNOS ROADSTER

 副部長の大坂怜央さんの好きな漫画は『頭文字D』。だから愛車もマツダのスポーツカーユーノスロードスターの初代モデルNA6CE。2ショットが板につくね。「幼い頃から憧れていた車で、リトラクタブルのヘッドライトなどのすべてのデザインが男心をくすぐります」

ALFA ROMEO/2000GTV

「『トップガン』の車版といわれる映画『デイズ・オブ・サンダー』は最高。観ると、いつでもアツくなれますよ」と語るのは部長・小河さん。この日の相棒は、ジョルジェット・ジウジアーロが手掛けたアルファ ロメオのクーペ。こう見えて中身は相当なレース仕様。

TOYOTA/COROLLA LEVIN GT APEX

「アクセルを踏んだときのエンジンの噴き上がり感は最高です」と話す人事の板倉拓寿さんのマイカーは、ハチロクの最上級グレードGT APEX。彼の愛車と同じく、好きな漫画について「昭和の車漫画の金字塔は『ナニワトモアレ』です!」と聞いて妙に納得した。

ヒップホップのライブイベント『BEATCHILD』の出演アーティストが記載されたTシャツ。その中には、会場横で開かれたカーミーティングに参加した成城大学自動車部の名前が!

今年の新入生に向けて作った新歓用のビラ。洒落たグラフィックは、小河さんが海外で撮った写真をもとに仕上げた。「OB会に来ていた80代くらいの先輩に、昔は100人入ったぞ! と言われましたが、あまり気張らずに、車好きなら誰でも歓迎」と小河さん。少しでも気になったそこの成城生、インスタグラム(@seijo_ac)で活動をチェックだ!