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イラニカフェを知ってるかい?

ARKnets × Barbour

2023年11月3日

photo: Tatsunari Kawazu
styling: Shuhei Yoshida
grooming: Tenju
edit: Koji Toyoda

『Dishoom』のメニュー表
これが『Dishoom』のメニュー表。あまりにも素敵なので持ち帰ってきてしまった。

 毎年、この時期になると『ARKnets』のお店には〈バブアー〉の別注が並ぶ。「バーレー」「ビデイル」「トランスポート」。英国伝統のジャケットを眺めていると、ロンドンへの想いが募ってしょうがない。『Dishoom』……。コベントガーデンで食べたボンベイ式ブレックファストの味が口の中で、記憶を手繰り寄せるように蘇ってくる。ベーコンにウインナー、カレー風味のスクランブルエッグに、パウ(インド式の西洋パン)。そして、スパイシーなカレー。それらをちぎったパンの上に少量ずつのせて口の中に運ぶスタイルなのだが、この奇妙なカレー体験こそが僕のロンドンになってしまった(他もたくさん行ったが忘れた)。

 どうやらこの店は、“イラニカフェ”のスタイルを取り入れているらしい。西インドに位置する大都市ボンベイ(現ムンバイ)の今も残るカフェスタイルを、2010年にロンドンに持ち込んだのが始まりで、現在は計5店舗の系列店を運営する人気店。現地の友人に聞けば、どこも行列が絶えないともっぱらの噂だ(僕が行ったときは、そこそこ普通に入れた)。まさしく、フットボール、ビール、カレーが欠かせないイギリス人にとってニュースタンダードとして定着しているようだ。しかし、口の中が一度“Dishoom味”になってしまうと、どうしてもそれ以外考えられなくなってしまう。ロンドンに負けじとインドカレー文化が根付く東京ならば、どこかしらに……。とのんびりした気分で探すも全然見つからない。もう、ダメか。と思った矢先、桜新町のインド料理店『砂の岬』で、ムンバイ式ブレックファストを発見! いざ実食とばかりに〈バブアー〉のジャケットを羽織って向かったのだった。

〈バブアー〉を代表するオーバーサイズコート「バーレー」。コットンとコーデュラナイロンを掛け合わせた生地を使っているので、いわゆる〈バブアー〉特有の油臭さとは無縁。シティな〈バブアー〉だ。コート¥57,200(バブアー × アークネッツ)、ニット¥63,800(マックジョージオブスコットランド)、デニム¥36,300(サイ)、マフラー¥42,900(ジョシュア エリス)、ハンチング¥10,780(カンゴール/すべてアークネッツ☎️028・634・1212)、その他は私物
〈バブアー〉といえば、やっぱり「ビデイル」。乗馬用ジャケットにルーツを持つだけに、どことなく気品が漂う。こちらのルーズフィットは、ヴィンテージにない軽やかな着心地。ジャケット¥53,900(バブアー × アークネッツ)、ヴィンテージの〈リーバイス〉のデニムジャケット¥33,000、モックネックカットソー¥14,300(サンスペル)、トラウザーズ¥51,700(サイ/すべてアークネッツ☎️028・634・1212)、その他は私物
大理石のカウンターに、品よく並んだ『砂の岬』のムンバイ式ミッドモーニングセット(¥1,600〜)。カレーは、マトン、チキン、マトンサリボティ(細切りポテトがのっている)と3種類から選べるが、まずは現地の人が当たり前のように頼むマトンキーマで。

 店先からスパイシーな香りがすでに漂ってきていて、お腹がグーッと鳴ってしまった。あぁ、お腹がすいた。自然光が気持ちのいいカウンター席に腰掛けて、待つこと10分。それはついに眼前にお目見えした。アンティークの皿にのったパウ、ジーラビスケット(クミンビスケット)。目玉焼きが中央にのったマトンキーマカレーに、ミルクセーキのような味わいのイラニチャイが脇を固める。ロンドンで食したそれとは少し見栄えが異なるが、これぞ正真正銘のムンバイ式ミッドモーニング。遅めの朝食にちょうどいい。

 そもそもイラニカフェとは、イランから逃れてきたパールシーと呼ばれるゾロアスター教徒(あのフレディー・マーキュリーもその一人)がムンバイで確立させたスタイルで、’60年代の最盛期には400店舗以上も専門店が軒を連ねたという。ゾロアスター教は他宗教に寛容で、カーストも宗教も関係なく様々な人々が入店することができ、同じ空間でブレックファストを共にした(今も)。『砂の岬』の店主、鈴木克明さんと有紀さんは、その身分や宗教で分け隔てしない“庶民の朝食”にロマンを感じ、今も残るムンバイのイラニカフェを食べ歩き、ついにはメニューに加えたそうだ。

もともとは〈バブアー〉マニアくらいしかその存在を知らなかった短丈の「トランスポート」。2020年復刻され、徐々に知名度が増す中で、『ARKnets』はスタンドカラーで別注。ジャケット¥56,100(バブアー × アークネッツ)、パンツ¥49,500 (イートウツ)、ニットキャップ¥22,000(ジョンストンズ/すべてアークネッツ☎️028・634・1212)

 その食べ方はこうだ。まずイラニチャイで喉を潤し、ちぎったパウをチャイに浸しながら一口、二口。次にちぎったパウでキーマをすくい口に運び、もう一口目は崩した目玉焼きとキーマをのせたパウを。お好みのタイミングで、スライスオニオンやレモンの搾り汁をかけて、味を立体的にしながら繰り返し食べていく。少量でエスプレッソ並みに濃いチャイは、食べ終わる前に飲んでしまおう。そして、食後は、ビスケットとフィルターコーヒーまたはノーマルチャイで締めるのが、現地の作法という名の美味しい食べ方。

 なんて優雅な食文化なんだろう。『Dishoom』でも感じたことだが、カレーという食文化をまるでアフタヌーンティーのように味わえるのがたまらない。西インドのパールシーたちが生んだミックスドカルチャーは、僕たちにとってはとても新しく、何かとクセになりそうな予感。『砂の岬』では、土日だけ格別な朝食を食べることができるから、この週末はロンドナーのように〈バブアー〉の襟を立てて、桜新町に出向いてみようじゃないか。絶対に損はさせないぞ。

狭い階段を上ると、インド映画にでも登場しそうな2階席が。ちなみに「トランスポート」は、別注ポイントのスタンドカラーは前立てを閉めて着ると、よりソリッドな印象に。〈バブアー〉なのに、“らしさ”がないのがこのジャケットの魅力。ジャケット¥56,100(バブアー × アークネッツ)、ニット¥39,600(ジョン スメドレー)、シャツ¥38,500 (カル)、パンツ¥84,700(ナイスネス)、シューズ¥39,050(パドモア&バーンズ × アークネッツ/すべてアークネッツ☎️028・634・1212)
「バーレー」は、ブラックの他にオリーブもラインナップ。ブラウンのコーデュロイ襟と相まって、英国クラシックな雰囲気に。コート¥57,200(バブアー × アークネッツ)、ニットカーディガン¥74,514(インバーアラン)、シャツ¥24,200、デニム¥22,000(共にヤエカ/すべてアークネッツ☎️028・634・1212)、その他は私物

レストラン

砂の岬

インドの旅を経て、2008年に車での移動販売としてカレー店をオープン。2010年、現在の場所に実店舗を構える。オンラインショップも充実していてカレーをはじめ、ビリヤニやチャイまでも冷凍で配送してくれる。もちろんお店で食べるのが一番だけど家でも楽しめるのは嬉しい。だけど、ムンバイ式ミッドモーニングは店内でしか食べられないぞ。

◯東京都世田谷区新町2-6-14 ☎︎080・4248・7720 金11:00〜15:00(ランチ) 土・日10:00~11:00(モーニング)、11:00〜15:00(ランチ) 月〜木休

インフォメーション

ARKnets

栃木県宇都宮市を拠点とするセレクトショップ『ARKnets』。ウェブや店頭でしか買えない別注シリーズ「ONLY ARK」は、50型以上! 〈バブアー〉以外にも気になるアイテムはまだまだたくさん。一度オンラインショップを覗いてみよう。

ARK STUDIO(YouTube)
https://www.youtube.com/@arkstudio2021