カルチャー
さーて、5月はどんな展示に行こうかな。
梅雨の蒸し暑さにも負けず行きたい展示6選。
2023年5月21日
text: Ryoma Uchida
ステファニー・クエール 『Animal Instinct』
@Gallery 38

Photography: Osamu Sakamoto
人工知能の進化が目覚ましい昨今。対話型AIの登場で、長らく人間が築きあげてきた文明社会の価値観が少しずつ揺らぎはじめている。『マトリックス』や『ブレードランナー』のような近未来の世界を想像したり、人間の存在意義について考えたりした人も少なくないだろう。しかし、未来ではなく過去へと(それもずっと昔に)考えを巡らせてみると、人間そのものの本質がみえてくることがあるかもしれない。ステファニー・クエールによる4年ぶりの個展「 Animal Instinct 」では、新石器時代や古代ギリシャの壺に使われたものと同じ材料を使い、4万年の人類の歴史の中で現れてきた動物のイメージを探求する。彼女自身の言葉を借りるなら、「よりマインドフル、より瞬間的、より動物的」な作品が並ぶ。神話・自然・動物・人間へとイメージが続く作品群からは、私たちがすっかり失ってしまった地球との精神的なつながりを再発見できるかもしれない。
Provoke,High beam,☆☆☆
@CON_


「一度見たら忘れられないヴィジュアル」と、人に言うのは悪口になりそうだが、こと作品に対して言うならば褒め言葉だ。そんな強烈な印象を残す作品が鑑賞できるのがコチラ。「Provoke,High beam,☆☆☆」は韓国・ソウル在住の2名のアーティストAhn Taewon, Lee Hyunwooを紹介する展示となっている。自然環境の対象化をコンセプトとするLee Hyunwooの大型彫刻、ネットミームと現実の融合を表現するAhn Taewon、それぞれが見た目のインパクトだけではなく、鑑賞者を言語を超えた世界へと誘う。韓国のアートシーンについて、これを機に知りたくなってしまう! ちなみにPOPEYEの来月号(7月号)はリニューアル後初の韓国特集だ。お楽しみに。
松下 誠子 展『良心をさがしてー落下する玩具』
@太郎平画廊

先月、東京・日本橋にオープンしたばかりのギャラリー「太郎平画廊」にて、アーティスト・松下誠子の個展「良心を探してー落下する玩具」が開催中。パラフィン紙や羽根、ワックスなどの素材を用いた立体、パフォーマンスやドローイング、アニメーションに至るまで、多彩な表現の作品が並ぶ。タイトルにもある「玩具」という言葉の通り可愛らしい題材が選ばれているが、そこで提示されるのは、形成された社会的価値観への問いや、作家自身の表層と深層をめぐる考察となっていて実に興味深い。ちなみにこの「太郎平画廊」は今夏には京都の西本願寺西にも開廊予定なので、ぜひ東西訪れてみよう!
水上愛美『If the accident will』
@Ritsuki Fujisaki Gallery

タイトルの“If The Accident Will”はアメリカ文学を代表する一人、カート・ヴォネガットの『スローターハウス5』(1969)中の台詞「偶然の気まぐれにより、私達がいつかまた平和で自由な世界のタクシーの中で出会う日が来ることを心から待ち望んでおります」(原文: I hope that we’ll meet again in a world of peace and freedom in the taxi cab if the accident will.)からとられている。作品は『スローターハウス5』をはじめ、イーリアスや千夜一夜物語、記紀のような古今東西の神話や物語から、ゲームや科学といった様々なナラティブが引用され、それらが作家を通して多層的に重なって表現されている。会場では「If The Accident Will」という言葉通り、物語との予期せぬ出会いがありそうだ!
「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」
@森美術館

所蔵:森美術館(東京)

撮影:古川裕也 画像提供:森美術館
「美術/図画工作」の授業が苦手だったという人の大半は、絵を描くことが苦手だったのではなかろうか。学校にもよりけりだとは思うが、やはり絵が上手く描けない人・表現をできない人は評価も下がってしまうのがこの授業のシビアなところだ。不思議なのは、美術館へ行ってみると、特に現代アートなんかは絵の上手い下手などの枠組みには収まっておらず、その作品世界が無限に広がっていることだ。それは、もはやアートというものが「美術/図画工作」の授業でカバーしきれない広さを持っていて、むしろ「国語・算数・理科・社会」など、あらゆる科目に通底する総合的な領域となっているからなのかもしれない。かつてドイツの現代美術家・ヨーゼフ・ボイスが「すべての人間は芸術家である」と語ったように、今回の展示は、対象者全員の「必修科目」なのかも?
インフォメーション
森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
会期:2023年4月19日(水)〜9月24日(日)
時間:10:00~22:00(※会期中の火曜日は17:00まで、※8月15日(火)は22:00まで、
※最終入館は閉館時間の30分前まで)
料金:[平日]一般 2000円(1,800円)、65歳以上 1700円(1500円)、大学・高校生 1400円(1300円)、中学生〜4歳 800円(700円)
[土・日・休日]一般 2200円(2000円)、 65歳以上 1900円 (1700円)、大学・高校生1500円(1400円)、中学生〜4歳 900円(800円)※専用サイトで購入の場合( )の料金が適用。
休み:会期中無休
山内 聡美『WHEREABOUTS』
@parcel

日本橋馬喰町まるかビル2Fに拠点を構えるギャラリー「parcel」にてフォトグラファー・山内聡美の個展『WHEREABOUTS』が開催。現在の活動拠点である東京をはじめ、幼少期を過ごしたフロリダや静岡などパーソナルな様々な土地の写真作品が、写実的に捉えられ並ぶ。また、スマートフォンのスクリーンショットを元に制作されたシリーズでは、アノニマスかつノスタルジックな風景が映し出されている。山内さんは本誌「Hello my name is…」のコーナーを7月号から担当してくれるので、そちらも併せてぜひチェックしてほしい!
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