ライフスタイル

【#1】モロッコの旅 想像と現実

執筆: 山野アンダーソン陽子

2023年4月16日

illustration: ©︎Kuniko Nagasaki
photo & text: Yoko Andersson Yamano
edit: Yukako Kazuno

頭の片隅で長い間思い続けていた旅の一つでもあるモロッコに、ついに行くことになったのは2月末。気候も「ベストシーズン」と言う情報を念入りに調べ上げた。私の住むストックホルムはマイナス6度で雪はまだ残っているものの、陽が長くなり春を感じさせている。出発に向けて窓の外の雪景色を尻目に暖かい気候を想像する。薄手の洋服を準備することが、もうすでに旅めいていて興奮する。モロッコとスウェーデンに時差がなく、マラケシュまで直行便で5時間。「初めてのアフリカ大陸」と言うワクワクを少しだけ身近な気分にさせてくれた。

マラケシュに着くと、晴天で27度だと言うのに、みんなダウンジャケットやウールのコートを着ている。ストックホルムなら確実に真夏の気候なのだけど、タクシーの運転手や滞在先の人たちが「冬なのでまだ寒い」と言っているので混乱する。肌にささる晴天とピンク色に乾いた土、街中の毛並みの悪いだらけた猫を見ながらきっともうすぐ来るであろう夏の過酷さを想像する。

プロフィール

山野アンダーソン陽子

ストックホルムを拠点とするガラス作家。スウェーデンの国立美術工芸デザイン大学で修士課程を修了。北欧最古のガラス工場であるコスタ内の学校で吹きガラスの手法を学ぶ。スウェーデン、イギリス、日本などで作品を展開。2023年11月3日より広島市現代美術館、2024年1月17日より東京オペラシティ アートギャラリーで山野さん発案のプロジェクト「Glass Tableware in Still Life」の巡回展が始まる。

Instagram
https://www.instagram.com/yoko_yamano/

Official Website
http://www.yokoyamano.com