ファッション

Hello, New Season Vol.1

2023年3月30日

photo: Tatsunari Kawazu
styling: Satoshi Kamei
grooming: HORI
edit: Minori Kitamura
2023年4月 912号初出

新しい季節がやってきた。
ニューなもの、今の気分、いろいろ。

料理を始める。
LET’S COOK

 健康と節約のために自炊を始めて気づいた、予想だにしないところに油が跳ねまくるってこと。いくら料理がうまくできても、洋服の油染みを見たら泣けてくる。ついに僕もエプロンを取り入れる必要が出てきたわけだが、〈ロンハーマン〉が〈ディッキーズ〉に別注して作ったそれが、ワークパンツの「874」やワークシャツの「574」にも使われるTCツイルという馴染みの素材を使用しているので親近感が湧く。硬くてハリがあるエプロンはなんだかワークウェアみたいで男らしさを感じるし、ガンガン使って、洗っては乾燥機にかけて、ボロボロになったら新しいものに買い替えればいい。いつものパンツみたいにね。

ユーモアを取り入れる。
BE HUMOROUS

「何それ?」と言いたくなる小物は会話のきっかけになるから、新生活に役立ってくれるかも。一見段ボールのいでたちの〈ベータ ポスト〉のキーケースは実はタイベックとプリーツレザーを貼り合わせた素材で撥水性があり、ネックコードは引き裂き強度の高いダイニーマファブリックを採用。見た目とは裏腹にかなりのタフガイだ。新生活を迎える人にお祝いで贈りたいのは、〈グッド グッズ イッセイ ミヤケ〉の二つ折りカードケース。お菓子の封を開けるように、中央のミシン目をペリペリとはがすことで使えるようになる。このひと手間、結構気持ちが良い。

〈ヤエカ〉のシャツとボタンの話。
NORMAL BUT THOUGHTFUL SHIRT

 日頃から着ている〈ヤエカ〉のシャツ、よく見るとボタンの裏側がお椀のように湾曲しているユニークな形って気付いてた? 実は10年近くオリジナルで製作しているもので、ボタンを掛けるときにつまみやすく、滑りが良くなるようにデザインされているのだ。表側の縁は通常よりも細いから見た目はすっきりした印象で、刻印はない。小さなところへの気配りが溢れているのに控えめなところが〈ヤエカ〉らしくて、こういう発見に毎度心を打たれている。この春着たいのは、オーセンティックなタッターソールチェック柄。柔らかくて薄めの生地で、颯爽となびかせたくなった。

愛でたいステッチ。
STITCH

 今季の〈ジェイエムウエストン〉の「シグニチャーローファー #180」はステッチが白い! 老舗によるフォーマルな靴が、初めてチャーミングに見えた。小さな縫い目だけど、長年のイメージを変えてしまうほど、服にとって大きな要素だとは発見だった。確かに、〈リーバイス®〉「501」のバックポケットでお馴染みのアーキュエットステッチもそうだ。大戦時は物資統制のためにペイントで代用されるなど年代によって異なるものの、彼らがジーンズを発明したときからの軌跡が刻まれているし、〈リーバイス®〉であることの目印となっている。そんな歴史もついに150年に到達した。