撮影が終わっても、完成までもが監督の大切な仕事。ここからの大まかな流れは、映像編集→カラコレ→MA→ダビング→完成となる。これまた、ここからのスタッフさんも大御所が集まってくれて職人技に唸る。
今回は5分以上15分未満に収めないといけないが、まんまと超えてしまった。間延びした部分をうまくつまんで、人物の声を当初とは違う部分にかけることによってより意味を持たせて深みを出す…。編集って凄い!!! 良くも悪くも編集で決まるとは聞いていたけど、なるほど…こういう事か! と納得。
そして、作品全体の前半の青みっぽくて少し暗い色、後半にかけて温かみのある色を関さんと共に調整していく。音楽はサカナクションの一郎さんと、今回はNFの青山翔太郎さんも参加してくれる事に。映像が出来上がった時点で男の心情に合わせて最初から最後まで音を乗せてもらう。ちょっとした機微に音楽が重なり、おとこの心情がより浮き彫りになる。素晴らしい。
この作品は静かなストーリーだけど、無の時がない。環境音というのも大切にした。東京という場所は無音がない。部屋にいても冷蔵庫の音、外の雨の音、車の通る音、色んな音がひしめき合っている。おとことの心情との対比で音は沢山入っている。
いよいよ完成。
ひとつの作品を作るのにこんなに多くの工程がある。決定することの多さ、時に妥協した時にどれだけの機転が利かせられるのか、低予算ならではのアイデアの持ち方、本当に色々と学ばせてもらった。
作品を作るときのこのワクワク感を忘れてはいけないという原点にも振り返る。俳優としてまたここから新たに関わるストーリーにもきっと新たな視点で携わっていけるような気がする。
