カルチャー
【#2】東西の線香花火
2022年8月16日
photo & text: Kyoko Tsutsui
edit: Yukako Kazuno
線香花火は、関東と関西で主流が違っています。当製造所は二種類の線香花火(スボ手牡丹・長手牡丹)の製造を行っています。
スボ手牡丹は、400年変わらない花火の原型です。残念ながら、現在、国内でこの花火を製造しているのは当製造所のみとなりました。米作りが盛んな関西地方には、ワラが豊富にあったため、ワラの先端に火薬を付けてできたスボ手牡丹は、関西地方を中心に親しまれてきました。


浮世絵では女性たちが香炉に線香花火(スボ手牡丹)を立てて観賞用として楽しんでいる様子がうかがえます。このように花火を立てて使用する姿がお線香に似ていることから『線香花火』と名付けられたと言われています。
遊び方も、絵のようにワラの部分を手に持ち、穂先を斜め上に向けます。火球の温度が上昇することにより、火花が飛び出します。スボ手牡丹はワラを燃やすのにエネルギーを使い、長手牡丹に比べて火球の温度が上昇しにくいため、風が弱い時には、火球に息を吹きかけて温度の上昇を手伝ってあげると咲き始めます。
火球の温度が下がると早く終わってしまうので、時々息を吹きかけて最後の火花までお楽しみください。こちらの線香花火は遊ぶ人のテクニックを要します。
一方、長手牡丹は火薬を紙で包んだ昔なつかしい線香花火です。関東では米作りが少なく、紙すきが盛んだったためワラの代用品として紙で火薬を包んで作られたことから、長手牡丹は関東地方を中心に親しまれ、その後、全国に広がりました。

みなさんご存じの通り、火球を下に向けて遊びます。こちらの線香花火は風を避けて遊んでいただくときれいな4変化を愉しむことが出来ます。
また、意外と知られていないのですが、ワインと同様、線香花火も「熟成」によって味わいが深まります。時を経た線香花火は、どこかやわらかく、温かみのある火花を散らします。パッケージに入れ、湿気のない場所で保存してください。翌年の楽しみにするのも一興です。
線香花火の四変化
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蕾
点火とともに、命が宿ったかのように酸素を吸い込みながらどんどん大きくなっていく火の玉。今にもはじけそうな瞬間は、さながら花を咲かせる前の「蕾」のようです。 -

牡丹
やがてパチッ、パチッと一つずつ、力強い火花が散り出します。称して「牡丹」。迷いながらも一歩一歩進んでいく青春時代を彷彿とさせます。火花の間隔は徐々に短く…。
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松葉
やがて勢いを増し「松葉」のように次々と火花が飛び出します。結婚や出産、子供の成長…。優美な火のアーチを眺めていると、不思議と幸せな出来事が重なります。 -

散り菊
火花が一本、また一本と落ちていく「散り菊」。静かに余生を送る晩年のように思えます。赤から黄に変わった火の玉が光を失った瞬間、線香花火の一生は幕を閉じるのです。
プロフィール
筒井今日子(筒井時正玩具花火製造所)
◯福岡県みやま市高田町竹飯1950-1 ☎︎0944・67・0764 営業時間シーズンにより変動
Instagram
https://www.instagram.com/tsutsuitokimasa/
Official Website
https://tsutsuitokimasa.jp
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