ライフスタイル
【#2】「世界の民芸玩具への眼差し」~玩具職人 ドン・シンダ ~
2022年7月16日
text: Akio Kasuga
edit: Eri Machida
今回から、具体的な民芸玩具の多様な魅力について語ることにしよう。先ずは、メキシコ合衆国の民芸玩具作家の作品を通して、その魅力について紹介してみたい。さて、皆さんはメキシコという国についてどのようなイメージをもっているのだろうか。例えば、太陽と情熱の国、明るく陽気な国、雄大な自然のある国、先住民とヨーロッパ人の混血文化が残る国など、様々なイメージがあることと思う。しかし、実のところ日本人にとって未知数の多い国でもある。メキシコは、伝統的な手仕事を継承しているアルテサニア(民芸品)の宝庫の国でもあり、従前から民俗学や文化人類学、そしてアートやデザインの世界から注目されている国でもある。そんなメキシコを代表する民芸玩具作家の一人にグメルシンド・エスパーニャ・オリバーレス(1935~2018)がいる。彼は、グァナファト州サンタクルース・デ・フベンティーノ・ローサスに小さな玩具工房を構え、メキシコの手作り玩具の伝統を守ってきたが、惜しくも2018年2月18日に83歳の生涯を閉じた。生前は尊敬と親しみを込めてドン・シンダと呼ばれていた。日本では殆ど知られていないが、メキシコのテレビ放送のドキュメンタリーでも紹介されるような、民芸玩具の業界では知名度のある職人であった。
ドン・シンダの玩具を見たり、実際に手に取って動かしたりすると、日々多忙な現代人が何処かに置き忘れてきたような「遊び心」や「和」を思い出す。遊び心、即ち人間のみがもてる豊かな感性であり、ゆとりでもある。そして、彼の創作玩具の造形や色彩は、我々をユーモアやウイットの世界へと誘ってくれる。それは、絵画の世界に置き換えればナイーフ派(素朴)に共通するような、どことなく心の懐かしさを感じさせてくれる。彼の玩具や創作の姿勢は、人間の豊かな遊び心、そして人間の心の和み、即ち「平和」の世界観を与えてくれるのである。ドン・シンダは生前、玩具作りで必要なことは、「玩具作りは愛を注いで命を吹き込むこと。それには夢を見ること、作りたいものを夢見ることだ」と述べていた。そのような彼の言葉からは、見る人にものづくりの根源的な意味を感じさせてくれる。
プロフィール
春日明夫
ピックアップ
PROMOTION
人生を生き抜くヒントがある。北村一輝が選ぶ、”映画のおまかせ”。
TVer
2024年11月11日
PROMOTION
ホリデーシーズンを「大人レゴ」で組み立てよう。
レゴジャパン
2024年11月22日
PROMOTION
〈ティンバーランド〉の新作ブーツで、エスプレッソな冬のはじまり。
Timberland
2024年11月8日
PROMOTION
〈ハミルトン〉と映画のもっと深い話。
HAMILTON
2024年11月15日
PROMOTION
介護がもっと身近になるケアギビングコラム。
介護の現場を知りたくて。Vol.3
2024年10月23日
PROMOTION
〈バーバリー〉のアウターに息づく、クラシカルな気品と軽やかさ。
BURBERRY
2024年11月12日
PROMOTION
〈バレンシアガ〉と〈アンダーアーマー〉、増幅するイマジネーション。
BALENCIAGA
2024年11月12日
PROMOTION
君たちは、〈Puma〉をどう着るか?
Puma
2024年10月25日
PROMOTION
うん。確かにこれは着やすい〈TATRAS〉だ。
TATRAS
2024年11月12日
PROMOTION
〈ナナミカ〉と迎えた、秋のはじまり。
2024年10月25日
PROMOTION
〈ザ・ノース・フェイス〉のサーキュラーウールコレクション。
THE NORTH FACE
2024年10月25日
PROMOTION
「Meta Connect 2024」で、Meta Quest 3Sを体験してきた!
2024年11月22日