ライフスタイル
【#4】Thank you.
2022年7月1日
photo & text: BONNIE PINK
edit: Yukako Kazuno
私の父は5年前に亡くなりました。数年間のガン闘病の末、エイプリルフールに嘘みたいにさっと旅立って行きました。その時私は臨月で、もういつ生まれてもおかしくない時期だったので、実家の京都でのお葬式に参列できず、家族とビデオ通話を繋いで今で言うリモート参加したのでした。人生で一番テクノロジーの進化に感謝した日でした。
新しい命をこの世に送り出すという使命感からか、とっても悲しいはずなのにどこか冷静な自分がいて、その緊張感は出産のその時まで続きました。父が去って間も無く、無事に生まれてきてくれた娘を抱っこして、深夜の産院の授乳室で思いっきり泣きました。幸せと悲しみの異種格闘技戦。産後はホルモンバランスの乱れから涙もろくなると言いますが、それだけでは無い涙がこみ上げて来て、人生で一番泣きじゃくりました。隣で何も言わず何も聞かず寄り添ってくれた助産師さんの優しさに、今でも感謝しています。
子育てをしながら、教育熱心だった父に聞きたかったことが今更ながら山ほど頭に浮かびます。間に合わなかった悔しさが時折胸をかすめるけど、それでも、妊娠中に父が私にかけてくれた「必死になりすぎるなよ」という言葉が私の育児のスローガンのようになっていて、大抵のことはそれで乗り超えてきました。性格が父そっくりな私に向けた“傾向と対策”としての、シンプル且つ的を得た助言。その後突入するコロナ時代との向き合い方まで示唆していたかの様。お父さん、ありがとう。色々ゆっくりやってくよ。娘がいつか巣立つ日が来たら、私も同じ言葉を託そうかな。

そう言えば、父がくれるメールはいつも長文だった。母はこんな便利な時代にあっても、必ずふるさと小包に縦書き便箋で手紙を添えてくれる。「溢れる想いは活字で残すに限る」。二人にそう教わった気がする。今回で最後となったこの連載、一貫したテーマなどなく書き連ねて来ましたが、結果的に「心の栄養」みたいな話ばかりでした。そして、書くことは癒しだと、改めて気づけた気がします。この個人的なストーリーが、誰かの心の栄養のヒントになっていれば幸いです。
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