ライフスタイル

【#3】暇との戦い – まっすぐ歩く –

2022年6月25日

 歩くことは暇を潰す一番の手である。でも、GoogleMapに頼りっきりでスマホを見ながら歩くのはちょっとつまらない。まっすぐな道を迷いなく進みたい。目的地は海のほうにしよう。心が疲れているときは海を見るに限るから。

 とある東京の駅で降りると、そこからまっすぐ海のほうに続く道がある。私はそこをずっと歩いていくことにした。

 最初はマンションやビルが立ち並んでいるけれど、だんだんと大きな倉庫や工場に風景が変わっていくのがおもしろい。途中で知り合いの名前の工場があったので、写真を撮影してみる。メッセンジャーで送ろうかとおもったけれど、急に工場の写真を送られても困るだろうなと思ってやめた。もう1時間くらい歩いていて、足はちょっと疲れてきたが、これから海が見れると考えると少しだけテンションが上がっていくのがわかる。

 公園を抜けていくと、広い海に出た。今、海を見たところで感慨深さは特にないけれど、1時間半くらい歩いて、それも、まっすぐずっと歩いてきて、憑き物が取れたようなスッキリとした感覚になった。もちろん暇も潰せているから成功だ。

 植物園があったので、そこを少し見て、併設されているカフェに入ってコーヒーとアイスを食べた。持ってきた本を開いて、ちょっとだけ読んだ。少し集中して読めた。とりとめのない不安が頭に思い浮かんで少し心臓がドキドキする。けれど、今までは感じることがなかった、したいことがちょっとずつ浮かぶようになった。あー。良い感じのバッグが欲しいな。その足で東京駅まで行って、いろんなお店をまわってバッグを物色した。憂鬱に支配されない普通の休日は久しぶりだった。