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【#2】暇との戦い – ガンボを作る –

2022年6月18日

 暇と戦うことにした私は、まず、暇を肯定することにした。暇って最高! 暇しか勝たん。あえて時間のかかることをじっくり時間をかけてやってみよう。その時、「ガンボ」という言葉が頭に浮かんだ。昔見たドキュメンタリーでアメリカ人が「ガンボ」という料理を作っていたのを急に思い出し、ぼーっと見ていたYouTubeでも「ガンボ」というワードが出てきたので、これは「ガンボを作れ」という神からのお達しだと考えた。

 ガンボというのは、アメリカのルイジアナ州で作られるスープ料理で、シーフードとオクラが入っているらしい。らしい、というのは、私は全く食べたことがないので、Wikipediaやレシピサイトの情報で今話している。

 特にガンボを食べたいわけではないけれど、暇を持て余している私にはガンボを作らないという選択肢はない。スーパーに行って、レシピ通りの材料を購入した。

 材料を切って、鍋に入れていく。肝心のスパイスはレシピサイトに書いてあったものがスーパーに売ってなかったので、似たような色のものを勘で購入した。色が似ていれば味も一緒だろう。私は料理をまったくしたことがない。

 スパイスを入れるが、私の家には大さじと小さじがないので、これもまた勘で入れていく。女の勘を信じろ。ぐつぐつと煮込んでオクラでとろみをつけたら完成だ。

 食べてみると、よく分からない複雑な味がした。これで合ってるのか分からない。だって、食べたことないから……。不味いといえば不味いけれど、食べられない味ではない。しかし、私は成功を求めていない。暇さえ潰せたらそれでいいのだ。3日かけて作ったガンボもどきを完食して、暇を潰すことにも成功した。

プロフィール

藤原麻里菜

ふじわら・まりな|1993年、神奈川県生まれ。高校を卒業し、東京NSCに18期生として入学。よしもとクリエイティブ・エージェンシーにてピン芸人で活動していたが、YouTubeチャンネル「無駄づくり」にて自作の実験工作や発明などを紹介する動画がきっかけとなり、発明家として活動をスタート。現在は、「株式会社 無駄」の代表取締役として、コラムやエッセイなどの執筆業でも活躍中。

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