ライフスタイル
【#2】 玄関観察記/啓蟄(けいちつ)
2021年4月21日
photo & text: Kota Sake
edit: Yu Kokubu
![ヒキガエルのカップル](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2021/03/2-1600x2133.jpg)
ここは東京、中野にある我が家の玄関先。
毎日いろんな生きものがやってくる。
啓蟄は土中で冬ごもりをしていた生きものたちが目覚める時期のことで、3月5日から3月9日くらいのことを指す言葉。
麗らかな春の日差しを感じる良い時期なんだけど、今年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の真っ只中ということで、なるたけ「stay home」で巣ごもりをしていた。
そんな2021年3月9日の夕方、外から「クックックッ」と鳴き声が聞こえてきた。
ヒキガエルだ。
睡蓮鉢を設置してから、この時期になると冬眠から目を覚ましたヒキガエルが玄関先に集まってくる。オスによるメスの争奪戦が壮絶に繰り広げられ、長い時には3日間にも渡って、何匹ものヒキガエルたちが鳴き続ける。そのヒキガエル独特のマヌケな声と、永遠と続く争いに思わず笑ってしまう。
カップルが成立するとカエルたちは睡蓮鉢の水の中へ入り卵を産む。透明なチューブの膜の中には無数の黒い卵が見える。それらは渦を巻きながら睡蓮鉢に沈んでいる。そして、当たり前だけど、卵からは数日でオタマジャクシが産まれてくる。
人間は緊急事態やら何やらと色々あるけれど、蛙は然るべき時期にちゃんと現れ、やる事をやっている。当たり前の地球はいつも奇跡的だ。
プロフィール
酒 航太
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