カルチャー
5月はこんな映画を観ようかな。
5月病をやっつけたいときに観るべき5作。
2022年5月2日
text: Keisuke Kagiwada
『MADE IN YAMATO』
宮崎大祐、山本英、冨永昌敬、竹内里紗、清原惟(監)
5人の監督が手掛けた、神奈川県大和市が舞台の短編オムニバス。同市が地元であり、かつてそこを舞台に『大和(カリフォルニア)』を作ったこともある宮崎大祐監督が企画者らしい。テーマしばりのオムニバスは、それぞれの監督がこの大和という素材を「どうさばいたか?」っていう大喜利的な魅力があるし、それを通して監督たちの個性が際立つのも面白い。個人的には清原監督による、ウィリアム・フォークナーの『八月の光』にオマージュを捧げたと思しき「三月の光」が興味深かった。5月28日より全国順次公開。
『夜を走る』佐向大(監)
非常にヒリヒリする作品だ。主人公はスクラップ工場で働きながら、空虚な日々を過ごす中年男の秋本。ある日、彼は1人の女性と知り合ったことにより、のっぴきならない事態に巻き込まれていく。それを通してえぐり出されるのは、現代日本の暗部だ。「マジでこれどこに向かうの?」という不安感しかないその進行ぶりは、地方都市の壊れたジェットコースターに乗っているかのごとし。撮影を務めた渡邉寿岳の不穏な映像美も忘れがたい。5月13日よりテアトル新宿、5月27日よりユーロスペースほか全国順次公開。
『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』フィリップ・ファラルドー(監)
エバーグリーンな輝きを放つ青春文学の金字塔、『ライ麦畑でつかまえて』を書いたJ.D.サリンジャーがどんな人だったかを知る人は少ない。なぜなら、ほとんど人前に姿を見せなかったから。そんな中、90年代のNYには彼と綿密なコミュニケーションをとっていた会社があったという。彼を擁する老舗エージェンシーがそれ。本作は作家を夢見ながら、同社でアシスタントとして働くことになった若い女性ジョアンナとサリンジャーの対話(電話での)を描く、実話に基づく一作。彼が発する味のある言葉は、まだ何者でもないすべての若者の心にもきっと響くはず。5月6日より全国公開。
『シニアイヤー』アレックス・ハードキャッスル(監)
高校のチアリーディング部でキャプテンを務めるステファニーは、練習中の事故で昏睡状態に陥る。そんな彼女が奇跡的に目覚めたのは20年後のこと。37歳にして高校に再入学した彼女は、時代の変化に翻弄されながらもプロムクイーンを目指す。名作『25年目のキス』のアップデート版のような本作で、大人になったステファニーを演じるのはレベル・ウィルソン。であれば、面白くないわけがないじゃないか。5月13日よりNetflixにて独占配信。
『君と一緒に過ごした夏』ソフィア・アルバレス(監)
Netflix配信作『好きだった君へ』シリーズの脚本で頭角を現した、ソフィア・アルバレスの初監督作品。海辺の街で出会ったティーンエージャーの男女(どちらも不眠症に悩まされている)が、毎晩冒険を繰り広げる中で互いに惹かれ合い、不安の多い人生に差し込む一筋の光を見出すという、王道の青春映画だ。5月6日よりNetflixで独占配信。
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