ライフスタイル

森に浮かぶベランダから浅間山を眺める、愛犬と過ごすマイペースな新生活。【後編】

ヤマスソクラシウラヤマシ Vol.1 /船山改

photo: Koh Akazawa
lettering: Daijiro Ohara
text: Fuya Uto

2025年2月7日

自然の中で心身ともに休息しながら掴んだ、確かな自分の表現。

「時間を潰すために仕事道具の定規とコンパスで落書きをしていたら、図柄を描くことに目覚めて。それまでは洋服というアウトプットに縛られていたけれど、もともとその設計図を作ることが好きだったと、改めて気づいたんです」

「日本の文化や文様を現代にフィットする形に持っていくこと」をテーマに活動する船山さん。スケッチも日々欠かさない。

 自然の中で徐々に体調を回復した船山さん。現在は、月の半分は仕事の打ち合わせや友達に会いに東京へ通いつつ、仲間とバックカントリースノーボードや山登りに出かけるアクティブな日々を送っている。隙間時間を活用しながらコツコツとDIYで改装を続ける自邸での暮らしも楽しみなことばかり。

6畳ほどのリビングには、1961年に海外で製造された日本地図や誰かの自作壁付けランプ、水牛の角の上にコラージュされたアフリカの民族の弓など、骨董屋でGETした癖のあるアイテムが飾られている。座ってるヴィンテージの椅子も先輩から譲ってもらったそうで、「希少価値やデザイナーズではなく、なにか自分なりに話ができるようなもの」を収集中。

「ロビンが走り回れるようにダイニングとリビングを仕切る壁を抜いてワンルームにする予定ですし、屋上でくつろげるスペースも増築したいんです。それに春になれば、前の持ち主の方が大事に残していたという天然の山桜が、ベランダに垂れかかるように咲くんです。すごくないですか?」

 四季の色づきを一人占めできるなんて贅沢すぎる! 愛犬と一緒に自然を堪能しながら、軽やかに街へ繰り出す新生活はまだ始まったばかりだ。

手前の樹木が天然の山桜で、今春に鉄骨のベランダでお花見をするのが目下の楽しみ。宙に浮かぶような設計もスゴイけど、想像以上に柵が低いのは昔の造りならでは。

御代田と佐久平の間の山あいで、東に行ったら軽井沢、西は長野市と街が点在していて暮らしやすい。例えば軽井沢までは車で20分と街へのアクセスも良好。「どんどん紹介して、友達だらけにして行こうかな(笑)。いい意味で干渉し合わずに、ちゃんと個が成り立つ環境がいいですよね」

プロフィール

船山改

ふなやま・あらた|1995年、長野県生まれ。文化学園大学テキスタイル専攻卒業。写真家としても活動し、主にスノーボードやクライミングなどのスポーツを撮影している。

Instagram
https://www.instagram.com/arata_funayama/

家のこと

Area

上信越自動車道の佐久ICを降りて約10分。冬は連日スキー客で賑わうが、この辺りは別荘地のため静かで過ごしやすい。


Space

1LDK


Money

改修費や権利代など諸々含めて約150万円で購入。


How to live

人が住めるのか怪しいほどボロい物件だったが、昨年11月末に購入。景観がいい別荘地エリアは、持ち主が家を手放さず管理会社に物件が出ないことが多いため、道ゆく人に片っ端から声をかけ、奇跡的に家の持ち主の親戚と遭遇。わずか1日で購入に至った。真っ赤だった塗装を塗り替え、約1ヶ月でリノベーションを終えて今の住まいに。