ライフスタイル
【#4】路地裏のZine屋から見えてきた景色
執筆: 桂井智彦(Manila Books & Gift )
2022年3月3日
photo & text: Tomohiko Katsurai
edit: Yukako kazuno
最終話となりました。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
このコラムでZineに興味を持って下さったり、作ってみようと思っていただけたら、心より店主冥利に尽きます。そして店主と一緒に沼に堕ちましょう。深淵から上を覗いてお待ちしております。
今回は路地裏のZine屋の店主の想いを書いてみようと思います。話は遡る事、店を始める前になるのですが…ここ名古屋の大先輩には、「名古屋にカルチャーなんてあるわけ無いがね」などときつい名古屋弁で切り捨てられ、東京の出版社の方は「名古屋でZineのお店なんて無理だよ」と。諸先輩両者とも、いろいろな経験や葛藤あっての発言だったのだろうと思います。当時の店主は苦笑いを返す事しかできませんでした。
そんな状態で当店はスタートしました。何があろうと10年以上は続けるという決意と覚悟と共に。まだ振り返るほどの経験も無いし、このコロナ禍では、どうなるかは正直わからない、が本音です。ただ、当店を通しZineを知ってくれたお客様と話すのは刺激的で有意義で楽しい時間です。
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今となっては名古屋にカルチャーがあるか?と聞かれれば胸を張って“ある“と答える事ができます。出版社の方には「Zineカルチャーを盛り上げるには、身近にお店がある事が大切だと思うから名古屋でやるんです!」と言い返す事が今では出来ます。これは名古屋で掴んだ皆さんの熱い心があるからです。
人間の表現欲求は本能だと店主は考えています。どこの街であろうと人が存在する所に表現者は必ず存在しています。それが複数の集団、“コミュニティ“となり成熟すればカルチャーと呼ばれるようになり、ムーブメントを起こす。極端な言い方になるが表現者が1人でもいるのであればZineを扱う店は必要と考えます。
例えるなら、昔は街に一つはあった本屋、楽器屋、スポーツ用品店みたいな感覚です。今の日本ではそれすら無くなってきています。時代の変化と言えばそれまでですが、表現者、アーティストの中にはスタートは”近所にあったそんなお店”だった方も多いのではないかと実感しています。
それをZine屋が担うのは些か飛躍しすぎであるかもしれませんが、何か行動を起こさないとカルチャーは弱くなる一方。魅力の無いつまらない街になってしまう。それが最も危険だと思っています。せめて活動や発信の場所は確保したい。そんな想いでボーっとしてる様で実は毎日が試行錯誤の店主なのです。
海外ではZineが、その街のカルチャーを知るツールとして機能し、それらは地域の風土も感じさせる。Zineを通し顔が見えるコミュニティーまでに成長し街の活性化に一役かっているようだ。たかがZine、されどZine。
Zineを通し、その街が見えてくる。
可能性は無限大なのです。
最後にみなさんにお伝えしたいのは
MAKE ZINES!です。
まずは、何も考えず作ってほしい。
そして、それを続けてほしい。
それは必ずあなたの何かのきっかけになるでしょう。
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プロフィール
桂井智彦(Manila Books & Gift )
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