FASHION

シャレがよく効いている。

おそらく、お洒落の神髄ってやつはシャレが効いているかどうか。 あらためて見た〈ポータークラシック〉のものづくりはシャレの塊なのだ。

2021.03.27(Sat)

photo: Hirokazu Kobayashi
illustration: Shinji Abe
text: Tamio Ogasawara
2021年4月 888号初出

 

REVERSIBLE RING
陶器と春画がくるくると回るリバーシブルリング。いつからか、こういうやんちゃな遊びを身に着ける大人がいなくなって残念。下ネタっちゃ下ネタだが、立派なカルチャーであり、文化を後世に伝えてくれるのも〈ポータークラシック〉ならでは。¥31,350

 お洒落な服はたくさんあるが、シャレの効いたものづくりってそう見ない。真面目な服はもちろん好きだが、真面目にふざけた〝余裕〟を身に着けられるようになると、男として一皮むけるような気がしている。
 『ポータークラシック 銀座』で目にしたのは、キレイな青い陶器がはめ込まれたリングである。陶器なんて洒落てるなあと思って見ていたのだが、台座を裏返すと、おっと、春画が出てきた(笑)。
 「もともとは、陶器をボタンに使っていたんです。陶器は金継ぎすればいつまでも使えますが、どんなものでも長く大事にできるものを作るのが、僕たちのものづくりの基本です。祖父は余った革で鞄を作り、克さんと僕は生地の端切れを無駄にせず鞄と服を作っています。陶器を指輪にも使えたら素敵だなと思ったし、好きな女の子と出会えたら、テーブルの下で裏返してちょっかい出せるようにと春画を仕込んでみました(笑)。そもそもこういう大人のアクセサリーって、昔の貴族がお金をかけて真面目に作っていたんです。金の箱に小さなボタンを付けておいて、押すと男のシンボルが出てくるみたいなね。アクセサリーはシャレっ気がないとつまらないですし、ちょっと笑っちゃうくらいのものがいいんですよ」

NEW KOGIN JACKET
青森・津軽の伝統的な刺し子であるこぎん刺しをモチーフに作られたジャケットは、白い刺しを全面に出したもので、繊細な幾何学模様がその特徴。一見して日本の伝統工芸とはわからないのが小粋なアンチテーゼ。ボタンは浅草のアトリエで手塗りなのだが、目当ての色がないなら自分たちで塗ればいいじゃんというDIY精神から。¥198,000

 玲雄さんがこれをひっくり返す予定があるのかが少し気になったが、他にも、男のものとしては珍しいパールを使ったリングや、LOVEと一筆書きで入るリングなど、アクセサリーはどれもよく見ると大人の色気のあるものだらけ。これらすべて、どこか1か所には18金が使われ、〈ポータークラシック〉の屋台骨でもあるお針子さんたちが手にする〝針〟をデフォルメし、パーツとしたからよくできている。こぎん刺しのジャケットも、伝統をリスペクトした上であえてその存在感を消し、和のものとは見えないようにしているのだが、なんてシャレが効いているのだろう。こういう玄人の遊びを地でやる玲雄さんと克さんだからこそ、雄弁なものが作れるのだね。世界中を探したって他にはないよ、こんなブランド。

LOVE NEEDLE RING
ピースな人生を送ってきた克さんらしいモチーフだから、LOVEやハートもすんなり受け入れられる。着けた瞬間のフィット感にこだわるのも、克さんの経験値の高さが如実に現れる。そんなの気にしたことある? ¥24,200

CLASSIC SILVER PEN
今季初登場のペンは、玲雄さんいわく、「身の回りにペンが多すぎたので、ベストな一本が欲しかった」というごく私的な欲求から生まれたもの。なくさないようにチェーンも付けられるゴールドの取っ手付き。¥56,100
PEARL NEEDLE RING
男がパールを首から下げる理由はまだ見当たらないけど、一粒、リングとして身に着けるのはめちゃくちゃ洒落ている。針モチーフのニードルリングに、ハート入り。そろそろパールを始めてみたいね。¥42,350
GOLD NECKLACE
ネックレスはゴールドで細身に限る。基本的には目立たなくてよくて、チラッと見えたときに引き込まれるくらいでいい。個人的な理想だが、夏になったら白いタンクトップに白いトランクスで、このネックレスを着けたまま寝たい。¥33,000※『ポータークラシック 銀座』限定

プロフィール

𠮷田玲雄 / Porter Classic President

よしだ・れお|1975年、東京都生まれ。克さん、スタッフ、お針子、職人さんを抱える〈ポータークラシック〉の本人いわく仲介役。「ディズニー」や「昭和西川」、〈コム デ ギャルソン〉とのすごいコラボも玲雄さんの行動力によるもの。現在ハマっているのは克さんの書斎作り。

BRAND

PORTER CLASSIC /ポータークラシック

日本の伝統技術である刺し子織りで織られた剣道着の生地を作り上げ、フレンチジャケットに仕立てることから始まった〈ポータークラシック〉。たとえ、孫の代でそれを見ても格好よく、長く直して使えるサステナブルなものづくりのマインドは、どこのブランドよりも確実に3周は早かった。一昨年の紅白歌合戦でビートたけしさんが着ていた〈ポータークラシック〉のニットとパンツには完全にやられた。写真は、会長の𠮷田克幸さんと代表の𠮷田玲雄さん。目利きの親子の果てしないアイデアが形になる。
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