ライフスタイル
シティボーイのための’90s宴会芸。
文・マイケル御手洗
2021年11月23日
text: Michael Mitarai
photo: Kyuseishu
edit: Yukako Kazuno
どうやら今、90年代カルチャーが世界中の都市をにぎわせてるらしい。たしかにCHAMPIONのリバースウィーブとか、90年代風のレトロスポーティなコーデを街で見かけるようになった。90年代の持ってる、インターネットが世界を変えるギリギリ前って感じが、今から見るととってもチャーミングなんだとか。1986年生まれのぼくからすると、記憶がバッチリ残っている90年代が最前線のシティボーイたちにレトロに映るってことにちょっと驚いちゃうけど、キッズの頃に夢中になったカルチャーとこうした形で再会するのも、悪くないなと思ってる。
そういうわけで、今回紹介するのは90年代の文献からセレクトした、「90s宴会芸」。90年代の宴会場で毎晩行われていた宴会芸から、レコードショップや古着屋をディグる気分で、君だけの掘り出し物を見つけてほしい。
サーフィン
日本中の小学生がpikoのTシャツを着て公園を走り回っていた90年代。大人たちは宴会場でサーフィン芸に熱狂していた。他の時代の文献には、座布団を波に見立てる、なんて紹介もあるけど、あのバブルの余韻冷めやらぬ90年代的にはちょっとヌルいよね。人間を床に敷いてダイナミックに波を演じるのが、90sの持つ気分。だって、波=自然へのリスペクトこそが、サーフィンの本質であり、宴会芸の本質なんだから。オリンピックでカノアやアムロにみんなが夢中になった2021年。まさに起こし時の芸だと思うな。応用としては、下の人間を一人にして、スケボーにするというのもまた、今年らしい気分が出そうだ。
参考:ヌルいサーフィン
竹トンボ
大人数の飲み会は、だいたい1時間もすれば中だるみが待っている。仲良くない人と同じテーブルになって話題が尽きた気まずさ。思い出すだけでもちょっとダウナーに入っちゃうよね。90年代のセンパイたちは、そういう時の解決策を知っていた。方法はカンタン、1番偉い人を、竹とんぼにして飛ばすんだ。その竹とんぼは、いろんなテーブルを回って、おつまみやお酒をおねだりする。一本の竹とんぼが宴会場を劇空間に変えてしまう。NYやロンドンで広まった観客参加型の劇「イマーシブシアター」を、こんな時代から先取りしてたセンパイたちに、ぼくは拍手を送りたい。
金太郎飴
宴会場で5~6人のグループが縦一列に並んだら。「お、Choo Choo TRAINだ!」とか、「またChoo Choo TRAINか・・」って思うよね。そんな予想を軽やかに裏切るのが、この宴会芸。列の隣に立つ人が“ポキン”と切る合図にあわせて、後ろから同じ顔芸をしている人が現れる。そう。江戸の名産品、金太郎飴のようにね。老若男女が集まって、100人の大金太郎飴とかできたら最高にドープだよね。「お、金太郎飴だ!」なんて声があがったら逆にChoo Choo TRAINをやってみる。そんなスカしもまた、宴会芸の醍醐味なんだ。
エレキトリカルパレード
宴会芸学会にとって冬は忘年会の季節だけど、冬は都市が輝くイルミネーションの季節でもある。今年は久しぶりに、カップルたちの賑やかな景色が見られるのかな。今のぼくたちにとってイルミネーションはあくまで見るもの。でも、90sのセンパイたちはカラダに電飾を巻き付けてイルミネーションと一体化していた。まさに、Think Different!
哲学者エマニュエル・カントの「存在するとは、行動することである」っていう言葉を思い出さずにいられない。そう、イルミネーションが存在するとは、ぼくらがイルミネーションとして行動することなんだよね、カント先生。
ちょっと、この写真のぼくたちの表情を見てほしい。この芸をやると、ごく控えめに言って、やたらと楽しいんだ。ちなみに、この時の撮影では我が家のクリスマスツリー電飾を使った。LEDだから熱くならないし、点滅パターンも豊富でリッチな表現が可能。90sの宴会場のクリエイティビティに、ようやくテクノロジーが追いついたってことかもね。ナウなセンスで、90s宴会芸をやってみる。そのおもしろさにこの冬、シティボーイたちが気づいてくれると最高だ。
プロフィール
マイケル御手洗
Instagram
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Official Website
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第74回日本宴会芸学会「マイケル御手洗の宴会芸白熱教室」講義録
https://note.com/enkaigei_gakkai/n/na28f8b82ef45
日本宴会芸学会のオリジナルTシャツ
https://enkaigei.paintory.com/
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