カルチャー

【#3】「Live Magic」2021 出演アーティスト

執筆: ピーター・バラカン

2021年10月14日

 前回のコラムに続いて、今回はLive Magic 2021 Onlineの出演者を紹介させていただきます。普通に会場で開催する場合は2日間にわたって国内外から合計20組のアーティストを集めます。特に海外に関しては出演料の他に飛行機代やホテル代など、色々な経費がかかるので、どんなに素晴らしいミュージシャンでも、フライヤーなどの宣伝材料を見た方が「この人、知らねーや」となったらコンサートは成り立たないので、アーティスト選びはなかなか大変です。

 Live Magic のキュレイターとしてアーティストを選ぶのはぼくの主な役割ですが、自分が聴きたくても、一般的に皆がそう思っているとは限りません。2014年からずっとこの悩みが続いていて、呼びたくても呼べない優れたミュージシャンのリストが長くなる一方です。

去年は過去のLive Magicの演奏から選んだものの映像を編集してオンラインで開催しましたが、またオンラインでやらざるを得ない2021年は違う方法をとることにしました。

呼びたくても呼べない優れたミュージシャンのリストから、オンラインなので飛行機代もホテル代も要らないの出演料だけ払えばいいミュージシャンに映像を作っていただけばいいわけです。それでお願いしたのが3組です。

 まず、サム・アミドン。彼はアメリカ北部ヴァーモント州出身で現在はロンドン在住、40歳のフォーク・シンガー、というとたぶん古くさいイメージになるかも知れませんが、決してそういう人ではなく、アルバムではちょっと変わった音作りを使ったり、非常に今を感じさせる人です。彼の最新作「Sam Amidon」からの曲 ”Light Rain Blues”のヴィデオです。

 次はラーキン・ポーという2人姉妹。妹のレベカはリード・ヴォーカルとリズム・ギター、姉のメガンはハーモニー・ヴォーカルとラップ・スティール・ギターを担当します。ライヴでは男のメンバーを加えたバンドで活動していて、来日もしたことがありますが、今回は2人だけの演奏をヴィデオに収めてもらいました。

どんな雰囲気かというと、例えばこんなものを見てください。

デレク&ザ・ドミノーズの「Layla」

そしてビートルズの「If I Fell」

 彼女たちはオリジナル曲の他にありとあらゆるジャンルのカヴァーをよくやっていて、30歳前後なのに過去の音楽の知識もすごいです。今回のLive Magicでかなり期待しています。

そしてもう一人はぼくがずいぶん前から日本に呼びたいと思っていたギターの名人です。

アーレン・ロスは1970年代から活動をしていて、ソロ・アルバムも色々出していますが、他の人のバックでレコーディングやツアーの仕事も多く、ギタリストの間ではとりわけ高い評価を得ています。

彼はスライド・ギターが得意で、そのスタイルの短い映像を紹介します。

またテレキャスターの達人とよく呼ばれます。テレキャスターの独特の雰囲気をフルに発揮した「When A Man Loves A Woman」をご覧ください。

3組それぞれ自宅で撮影したカジュアルな映像をお届けします。

日本からはU-Zhaan x Mabanuaの2人にもLive Magicのために演奏してもらった映像用意しています。

そして民謡クルセイダーズのヴォーカリスト、フレディー塚本率いる民謡グループ「こでらんに〜」とエチオピアの伝統音楽を演奏するMoseb Cultural Music Groupの、リモートで収めた共演もあります。

それに加えて前回紹介した民謡クルセイダーズ、Majestic Circus、Mamadou Doumbiaの、6日に行ったライヴから編集した一部の演奏を紹介します。

実際に会場で生演奏をする人も、2人います。一人はLive Magicのマスコットともいえる和歌山県那智勝浦の名物ギタリスト、濱口祐自です。2019年のLMの演奏をどうぞ!

もう一人はぼくにとって新たな出会いのギタリストです。大阪出身、現在20歳のKOYUKIです。

馴染んでいただくためにプレイリストも作りました。ぜひ聞いてみてください。

開催は23日(土曜日)夜7時からです。詳細はこちらへ→https://www.livemagic.jp/

生配信+3日間のアーカイヴもあるので、当日予定のある方もぜひ!

プロフィール

ピーター・バラカン

1951年、ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。現在フリーのブロードキャスターとして活動、「バラカン・ビート」(インターFM)、「ウィークエンド・サンシャイン」(NHK-FM)、「ライフスタイル・ミュージアム」(東京FM)、「ジャパノロジー・プラス」(NHK BS1)などを担当。

著書に『Taking Stock どうしても手放せない21世紀の愛聴盤』(駒草出版)、『ロックの英詞を読む〜世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『わが青春のサウンドトラック』(光文社文庫)、『ピーター・バラカン音楽日記』(集英社インターナショナル)、『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテスパブリッシング)、『ラジオのこちら側』(岩波新書、電子書籍だけ)、『ぼくが愛するロック 名盤240』(講談社+α文庫、、電子書籍だけ)などがある。2014年から小規模の都市型音楽フェスティヴァルLive Magic(https://www.livemagic.jp/ )のキュレイターを務める。

ウェブサイト
http://peterbarakan.net