TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
CULTURE

【#1】今年見るべき音楽関係の映画

ピーター・バラカンさんによる週一コラム。

2021.10.09(Sat)

コロナ禍のために去年も今年も悲惨なほど音楽を生で聞く機会が少ないですが、そのせいもあってか音楽関係の優れた映画が立て続けに公開されています。

何と言っても今年の大きな話題はデイヴィッド・バーンの「アメリカン・ユートピア」でした。まだ順番に地方を回っているので、見ていない方はできればぜひ映画館で見て欲しいですが、12月8日にDVDとブルーレイも発売されることになっています。

他にもアリーサ・フランクリンが1972年に行った伝説のゴスペルのコンサートを撮った「アメイジング・グレイス」、1969年にニューヨークのハーレムの公園で開催されたブラック・ミュージックのフェスティヴァルを収めた「サマー・オヴ・ソウル」など必見の作品があります。

また年末にビリー・ホリデイとアリーサ・フランクリンそれぞれの伝記映画が控えています。

ビリー・ホリデイに関して言えば今年彼女の人生を描いた素晴らしいドキュメンタリー映画「ビリー」も公開されました。それを中心にぼくが監修した音楽映画祭を7月に開催しました。その後関西でもやりましたし、今月は横浜のジャック・アンド・ベティでも小規模で開催します。

10/9(土)~14(木)連日、17時台に「BILLIE ビリー」上映

10/9(土)、12(火)19時台「AMY エイミー」上映

10/10(日)、13(水)19時台「大海原のソングライン」上映

10/11(月)、14(木)19時台「サウンド・オブ・レボリューション」上映

(それぞれの映画の簡単な説明はこちらでどうぞ。https://pbmff.jp/

そして11日にぼくが「ビリー」の終映後と「サウンド・オブ・レボリューション」の開映前にトーク・ショウを行います。

他の地方でもこの音楽映画祭をやって欲しいという希望があればどこにでも持って行きたいと思っているので、ご連絡をお待ちしています。

それとは別に、すでに開催中のイメージ・フォーラム・フェスティバル2021の一環で、Shibuya Skyの屋上で行われるRooftop “Live” Theaterというイヴェントがあります。10月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)に4本の音楽関係の映画が上映されます。9日は前述の「アメイジング・グレイス」、16日はトーキング・ヘッズの伝説のコンサート映画(1984年)「ストップ・メイキング・センス」、そして後の2本は日本初上映のとても面白いドキュメンタリーです。

10日は「ラスト・ソング・ビフォー・ザ・ウォー」。西アフリカのマリの砂漠の中で、2001年から2011年まで毎年開催された「砂漠のフェスティヴァル」はトゥアレグという遊牧民族のバンドを中心に始まり、段々マリの他の地域のミュージシャンやその他の国、アフリカ以外のミュージシャンもゲストとして登場するかなり話題の催し物に発展しましたが、2012年からイスラム原理主義集団がこの地方を占領し、音楽活動が(タリバンが支配する今のアフガニスタンのように)不可能になりました。

最後になった2011年のフェスティヴァルは運よく撮影されていましたが、そのドキュメンタリーがこれです。音楽大国マリを代表する女性歌手ウームー・サンガレ、有名なギタリスト兼ヴォーカリストだった父親アリ・ファルカ・トゥレの伝統を引き継ぐヴュー・ファルカ・トゥレなども出演し、フェスの背景も色々と描かれる興味深い作品です。

そして17日はレゲェに関するドキュメンタリー、「ルードボーイ:トロージャン・レコーズの物語」です。レゲェが世界的に聞かれるようになったのは60年代にイギリスでジャマイカの音楽の人気が高まったからですが、そのプロセスがとてもよく分かる映画です。先日亡くなった伝説のリー・ペリーをはじめ、ジャマイカのミュージシャンやプロデューサーがあの黄金時代を語ります。

この2本は一般公開されないので、興味のある方ぜひこの機会に見ることをお薦めします。Rooftop “Live” Theaterは4本とも開映が18時です。

プロフィール

ピーター・バラカン

1951年、ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。現在フリーのブロードキャスターとして活動、「バラカン・ビート」(インターFM)、「ウィークエンド・サンシャイン」(NHK-FM)、「ライフスタイル・ミュージアム」(東京FM)、「ジャパノロジー・プラス」(NHK BS1)などを担当。

著書に『Taking Stock どうしても手放せない21世紀の愛聴盤』(駒草出版)、『ロックの英詞を読む〜世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『わが青春のサウンドトラック』(光文社文庫)、『ピーター・バラカン音楽日記』(集英社インターナショナル)、『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテスパブリッシング)、『ラジオのこちら側』(岩波新書、電子書籍だけ)、『ぼくが愛するロック 名盤240』(講談社+α文庫、、電子書籍だけ)などがある。2014年から小規模の都市型音楽フェスティヴァルLive Magic(https://www.livemagic.jp/ )のキュレイターを務める。

ウェブサイトは http://peterbarakan.net
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