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あらためて遊歩大全 #6 / 衣装部屋編

機能服と便利な小物。

2021年8月7日

photo: Hiromichi Uchida
composition: Kyosuke Nitta
cooperation: Kazuhiko Kai
2014年12月 812号初出

時は1968年。反社会運動真っ只中のカリフォルニアにて、新しい発想での自然回帰・ウォーキング哲学を提唱し、ヒッピーを大自然へと誘った『The Complete Walker』(著・コリン・フレッチャー)は、全米でベストセラーに。その後改訂版として登場した『The New Complete Walker』を、1978年に芦沢一洋が熱のこもった言葉で翻訳・出版し、日本でも空前絶後のバックパッキングブームが巻き起こった…。


それ以降、山を歩いて旅する者たちのバイブルとなった『遊歩大全』。文庫版ですら976ページもあるこの長旅をギュッとまとめて、目次順に解説!6回目は『衣装部屋』。

遊歩大全

– 裸になるか。着るか。-

 「ウォーキングにおける最高のドレスは、裸である」と熱弁しながらも、コリンはしぶしぶ、服の条件をこう結論づける。「丈夫で応用範囲が広く、雨に対して強いことを条件に、重量と照らしあわせて、保温効果の高いもの」。その上で、気象情報、色(暗い色で汚れを目立たせない、明るい色で危険防止と写真写りのよさ、カモフラージュ系など)、デザインの好みなども検討していく。

 アンダーウェアには冷暖両面の性能を併せ持つフィッシュネットのもの、シャツは暖かく汗もよく吸収するシャミーシャツ、カシミヤのセーター、タフで汚れが目立たないパンツ、コーデュロイ素材のオーダーメイドショーツ、ダウンジャケット、ウインド&レインウェア(普通の雨ならポンチョが最高)を。

– 悪条件を打破する衣類小物。-

 底冷えする夜間のテント内では、ダウンブーティーが最高に実用的。手袋は作業に向く革製のワークグラブ、暖かさならウールのミント。伸ばすと頭から首周りまで覆うバラクラバ(目出し帽)、首から服の中の暖気が漏れるのを防ぐスカーフも防寒に役立つ。バンダナは応用範囲が広く、濡らして帽子内に入れるとクーラーにも。帽子はあらゆるハイカーの必需品で、個性の見せどころ(コリンは<ハーフ・ステットソン>のフェルトハット)。風に飛ばされないようにあご紐を通しておくのが正解。紛失したら、頭にライフベストを載せて、ナイロンコードで固定しよう。

– 洗濯をどうするか。-

 服を洗濯するときはバケツに水をくみ、ボウルの中で洗う。汚水は川や湖から50フィート(15.2m)以上離れたところに捨てれば安全。服を乾かすときは、木を2本見つけて、片方の木にナイロンコードの中央部を回してよくねじり、その間に干し物の端をグイッと押し込むツイスト&シャブ方式を。

遊歩大全
1987年には上下2巻が1冊(左)に。その後に絶版となり、入手困難な状態が続いたため“伝説のバイブル”と呼ばれていたが、2012年に山と渓谷社より文庫版(4・厚さ3.5㎝。¥2,200)が登場した。(右)