カルチャー
3月はこんな本を読もうかな。
春の昼寝の合間に読みたい8冊。
2021年3月9日
text :Keisuke Kagiwada
まだまだ遠出しにくい日々が続きそうだから、せめて読書で知見を広めたい。『LAフード・ダイアリー』や『韓国映画・ドラマ わたしたちのおしゃべりの記録2014〜2020』で異国のカルチャーに思いを馳せてもいいし、『図説 異形の生態』で未知なる生物を探求してみるのもいい。読書はパスポートなしでいろんな境界を超えられるんだから。
『LAフード・ダイアリー』
三浦哲哉(著)
著者は『サスペンス映画史』などの著書を持つ映画研究者であると同時に、『食べたくなる本』という食にまつわる本のエッセイ集もある。であるからして、映画研究目的でLAに滞在した著者が、食の探求をしないはずがない。近代の食の実験が花開いた場所としてのLAの独自性とはなんだったのか? ¥1,700/講談社
『グッバイ、コロンバス』
フィリップ・ロス(著)中川五郎(訳)
最近観て一番グッときた海外ドラマは、「もし1940年の大統領選でルーズベルトではなくリンドバーグが勝っていたら?」を描いた『プロット・アゲインスト・アメリカ』なんだが、その著者の代表作が新訳になった。ほろ苦い青春物語だそうで、『プロット〜』とは違う雰囲気っぽいけど気になる。¥1,800/朝日出版社
『サラ金の歴史 消費者金融と日本社会』
小島庸平(著)
戦前の素人高利貸に起源を持つサラ金は、バブル崩壊以後、みるみる社会問題の温床と化していった。この業界の変転を日本の経済史に位置づける本書を読めば、『闇金ウシジマくん』をもっと楽しめそう。¥980/中央公論新社
『ディズニーと動物 王国の魔法をとく』
清水知子(著)
最近のディズニーのアニメ映画を“子供向け”だとバカにする人はいないだろう。だけど、どうやらウォルト本人が関わっていた初期からその作品はなかなか攻めていたらしい。ということを、ストーリーやキャラクター、自然や科学技術などの視点から読み解いた1冊。¥1,700/筑摩書房
『デヴィッド・ボウイ 無を歌った男』
田中純(著)
デヴィッド・ボウイは、亡くなるまでアーティストとしてのスタイルを自由自在に変化させ続けた。しかし、その足跡をよく見てみれば一貫した作家性があるようだ。では、ボウイの思想とは、美学とは、何なのか? 気になった人は読むべし。¥4,900/岩波書店
『パンデミック2 COVID-19と失われた時』
スラヴォイ ジジェク(著) 岡崎龍(監修) 中林敦子(訳)
新型コロナウイルス禍、ブラック・ライヴズ・マター、アメリカ大統領選のゴタゴタ……。未曾有の事態が波状攻撃のごとく連発した2020年春から秋にかけての情勢を、哲学界のロック・スターが、精神分析学とポップカルチャーを武器に舌鋒鋭く分析。¥1,800/Pヴァイン
『図説 異形の生態』
ジャン=バティスト・ド・パナフィユー(著)星加久実(訳)
子供の頃から図鑑っていう形式になぜだか魅了されてきた。未知の何かに出会う興奮が味わえるからだろうか。ユニコーンからドラゴン、セイレーンまで、神話や伝説に登場する生き物の体内構造までを解説したこちらは、未知の度合いが段違いの図鑑だ。¥2,800/原書房
『韓国映画・ドラマ わたしたちのおしゃべりの記録2014〜2020』
西森路代、ハン・トンヒョン(著)
2020年は、韓国の映像文化が何度目かのブームを迎えた年として記憶されるだろう。実際、映画では『パラサイト半地下の家族』が米アカデミー賞で作品賞を獲り、ドラマでは『梨泰院クラス』『愛の不時着』が話題になった。そんな韓国映像文化の現在を、2人の著者が論考や対談を通して解き明かす。¥1,700/駒草出版
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