TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#1】Magazine for City Boys
執筆:光石研
2025年5月9日
ポパイが創刊された1976年夏。光石少年、中学3年の15歳。北九州市八幡、黒崎と云う小ぶりな街で生まれ育ったボクは、その日、日がな一日商店街をプラプラし、小さな百貨店を上階から下階まで眺め、スポーツ店を冷やかし、レコード店をチェックして、本屋で締める。そんな感じで時間を潰していた。そして、最後に訪れた本屋に積まれていたのが雑誌「ポパイ」。可愛いポパイのイラストに横文字が並び、さながら欧米雑誌の様。「なんやろか、この雑誌は? カッコ良いね!」手に取りページを捲ると飛び込んできたのは、キャリフォリニアの真っ青な空! 一瞬で、薄暗い本屋の空気が変わった!
スケボーにスニーカーにジョギング。ジムショーツにラグジャーにUCLA!シティボーイズへの雑誌! シティボーイと云う響きも初めて聞いた。「そそそうね、こー云うのがシティボーイね! カッコよか~。よおおおし、オレはシティボーイになるばい!」
都会に憧れ、海外に夢こがれる光石少年は、完全に驚掴みにされた。それ以降「ポパイ」はバイブルとなり、すべての思考回路が「ポパイ」経由となった。ファッションはもちろん、食もスポーツもインテリアも、車に時計に音楽。すべて「ポパイ」に教わった。今でもその刷り込みは根深く、すべての判断基準のもとになっている。街中で坂や傾斜を見れば、「アキ秋山さんならイケるだろう」とか、洋服を選ぶ時、「小林泰彦さんや北村さんは、これを選ぶだろうか」とか、「今度の映画の役作り、北村純さんの様なヒゲでいきたいな」とかとか。
1980年の春、ボクは上京の為、実家を出た。それを密かに待ち望んでた年下の幼馴染君は、ボクの母に頼み4年分の「ポパイ」やその他のカルチャー誌などなどを持ち帰った。
「おばちゃん、研ちゃんが、オレが東京行ったらあげるって言いよった、持って行っていい?」「いいばいいいばい。部屋が片付くけ助かるバイ!」。お袋、ボクのバイブルを(汗)。ま、可愛い幼馴染君だから仕方ない。
もちろん彼も、純粋培養の「アメリカ大好き少年、ポパイ小僧」になっている。
その後、創刊号は、オークションで再購入した。ふらっと入った古本屋で再購入した数冊の「ポパイ」も大切にとってある。
ページを捲ると、当時の四畳半の自室が薫る。
プロフィール
光石研
みついし・けん|1961 年生まれ、福岡県出身。高校在学中に曽根中生監督『博多っ子純情』(78) のオーディションを受け主演に抜擢される。
以降、映画・ドラマを中心に様々な役柄を演じる。
映画『フロントライン』6月13日公開
映画『でっちあげ』6月27日公開
映画『夏の砂の上』7月9日公開
テレビ東京『失踪人捜索班 消えた真実』毎週金曜日21:00〜放送中。
Official Website
http://dongyu.co.jp/profile/kenmitsuishi/
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