TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#1】昆布を巡る、北海道の旅

執筆:kinhiji

2025年3月10日

kinhiji


text & photo: Waki Hamatsu(kinhiji)
edit: Miu Nakamura

こんにちは。近年、kinhijiというユニットを相方、桃ちゃんと結成しました。最近のkinhijiといえば海藻にまつわる日本各地の衣食住を探求中。海に山に町にただただ興味から広がる旅を続けています。
さて一話目は北海道の旅について。
海藻をめぐるのに北海道ははずせない。北海道はこれまでに二度、行ってきました。もちろん狙いは昆布!昆布は日本の食文化にはかかせない海藻ですが、そのほとんどが北海道でとれています。

私たちの旅は海藻を探求すると同時に人との出会いに重点をおいているため、北海道などの遠方は取材日数より少し多めに旅期間をもちスケジュールに余裕を。現地にいかないと何がおこるかわからない。突然の出会いもあるし、せっかくのチャンスを逃したくないということで。あとはやっぱり取材以外にもその土地を自分の目でみる、味わう、ということが現地までいくことの醍醐味だと思っているのです。実際、毎回あまりにもネット情報がなさすぎて電波もなかったり、頼るものは自分達の勘とフットワークのみだったりします。

お土産:左から時計回りに①らかん洞の沢山の作品の中からみつけた子。②根昆布③北欧の軍物パンツ④海藻の本たち⑤網走でうまれたセワポロロ

kinhiji旅でいつも必ずいくのが本屋か図書館。いい本屋がある町はいい町だって誰かがいってたのは本当。私は本にはあまりなじみがなかったのだけどここ数年でかなり読めるように成長しました。本屋から文化の発信というのはみつかるものです。今回はやはりダントツで昆布関係が多かったかな。とはいえ海藻関連の本はかなり希少。大抵はレシピ本と、難しい学術的な本で数冊のみ。今回はそんな中でもいい出会いがありました。

「日本産コンブ類図鑑」を運よく手にいれることができた私、北大の向かいの弘南堂書店にて。とても親切なお店。 

海藻の標本を大量に所有しているという北海道大学へもいってきました。残念ながら標本は見ることができなかったけれど、「すごい標本」という素晴らしい本との出会いが。実はkinhijiで旅をするようになり、少しづつだけれど海藻の標本モドキを作っているのです。(海藻は漁業権がないととってくることができないので、所有する方と一緒にいくか、落ちている小さいものを拾ってくるのみ)この本は美しさもあり、とても参考になりました。

もう一つ、必ずいくお店が全国どこにでもある2nd street。古着が大好きな私たちにとって、20分でも隙間ができればこのお店にむかいます。今回は軍物のキルティングパンツを購入。これは寒い土地のお店の特権だな。そして昆布はというと、北海道で知った根昆布というものを。根っこの部分で、出汁がよくとれるそう。あまり都内でみることがないのでこちらも出会った時に買うようにしています。

こちらは一昨年、昆布干しを体験する桃ちゃん。去年行った土地は昆布がかなりやせていて不作。他の海藻同様、年々とれなくなっているのはかなり深刻な問題。温暖化はもちろん、海の栄養が減っていることや、海洋プラスチックも原因。

ところで、私たちの旅でかかせないのが食の話。
前回の旅での一番のお気に入りが日高にあるいずみ食堂。極太麺に昆布xかつおのだしが最高。北海道は全体的に割と濃いめの味付けが多い印象。毎回お店選びには苦戦します。(うちの父は函館出身で濃いのが大好き。母は母娘の味噌汁を作ったあと、父の分だけ追い味噌をしていたのを思い出す)このお店の味付けが本当ちょうどよくて不揃いな太麺もとても好みだった。

北海道は昆布で出汁をとるというよりは、そのまま料理に使うという印象が強いです。
今回の取材先で驚いたのが、昆布を揚げる、という手法。これは考えたことなかったな。

プロフィール

濱津和貴

はまつ・わき|東京在住のフォトグラファー。日常にたたずむ美しさをテーマに、人の営みとそこから生まれる光景を撮り続ける。写真集『summer vacation』ほか。中村桃子さんと結成したユニットkinhijiは、海藻にまつわる日本各地の衣食住を探求中。

Official Website
https://wakihamatsu.com/

Instagram
https://www.instagram.com/wakyhama/