TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
LIFESTYLE

【#3】喫茶店のテーブル。

2021.06.24(Thu)

喫茶店に入ると二人用の席がふたつ空いていた。窓際の席とその隣だ。どうせ座るなら窓際が良いが、昨日この店に来て窓際に座った時、テーブルがグラグラした。激しく揺れるわけではないものの、コップが揺れて中の水がこぼれ出すくらいの揺れはあった。右手をテーブルの上に置けば揺れ、左手を置けば揺れ、何をしても揺れるので落ち着かない。

こういう場合は自分で応急処置をするしかない。紙ナプキンを数回折って、それをテーブルの脚の下に入れる。すると高さが均等になってぐらつきがなくなる。しかしこの行動、店員に見られると気を遣われるし、他の客に見られるのはなんだか恥ずかしい。そこで手早く適格に行わなければいけない。こうしてぐらつきを直して私の喫茶タイムが始まるわけであるが、できるならこの作業をやりたくないから、今日は窓側の席を回避し、その隣の席に座った。

ところがなんとまたテーブルがぐらつくではないか。窓際のテーブルを触ってみると一切ぐらつかない。どうやら1日でテーブルが入れ替わったらしい。閉店後の掃除で入れ替わったのか、それとも大胆な客がテーブルごと入れ替えたのか。とにかく今日もまた平気な顔をしてぐらつきを直す作業をしなければいけないようだ。

プロフィール

せきしろ

文筆家。1970年、北海道生まれ。4月にエッセイ集『その落し物は誰かの形見かもしれない』を発売。著書に又吉直樹と共著の自由律俳句とコラム集シリーズの第3弾『蕎麦湯が来ない』や『去年ルノアールで』などがある。

公式サイトはこちら。
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