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介護の現場を知りたくて。- デイサービス編 –
2024年10月9日
photo: Naoto Date
illustration: LAZY PIZZA DELIVERY
text: Neo Iida
同級生と岡山で立ち上げた街に開かれたデイサービスで、利用者の挑戦を後押しする。
プロフィール

土井脩平
どい・しゅうへい|1995年、岡山県生まれ。高校卒業後、県立広島大学で理学療法士の資格を取得。愛知県のデイサービスに勤めたのち地元岡山で友人らと「Soda」を開業。無駄なものは買わないミニマリストでTシャツも数枚をローテする。
やりたいことに寄り添う、DIYなケアのかたち。
古代吉備文化が生まれた歴史深い街、岡山県総社市は、岡山市と倉敷市に隣接するベッドタウン。暮らしやすさから移住者が増え、年々人口が増加しているという。その総社に今年の8月、デイサービス「Soda」がオープンした。立ち上げたのは大学時代の同級生3人だ。
学生時代から自転車好き。〈FUJI〉のフレームで組んだ愛車で通勤している。道中には備中国總社宮の参道があり、明治43年に造られた警察署を活用した登録有形文化財の「総社市まちかど郷土館」など歴史ある町並みが。古民家の保存に尽力する『つながるカフェ 線』の金丸由記子さんにもご挨拶。「Soda」の活動を応援してくれているのだそう。
「街に開かれたデイサービスを目指しているので、入り口を入ってすぐの土間には駄菓子を置き、新刊本と古本を扱う小さな書店も構えました。利用者さんだけじゃなく、子供から大人まで誰でも訪れることができる場所にしています」
そう話すのは代表の土井脩平さん。将来を考えるきっかけは中学時代のサッカーでのケガがきっかけだったという。
「病院で理学療法士の方にサポートしてもらい、その姿を見て選手を支えるっていいなと。理学療法士の免許がとれる県立広島大学に進学しましたが、現実を知れば知るほど、チームに帯同するトレーナーの道は狭き門だとわかってきて、ひとまず病院での実習に行きました」
中央の大きなテーブルは利用者とスタッフの共有の場所。ここで作業をしたり食事をしたりしながら、共に時間を過ごす。「利用者さんにはそれぞれ得意なことがあるので、お願いして作業してもらっています」と土井さん。この日は入り口にちょうどいい色の暖簾を付けるため、買ってきたネイビーの生地を縫い合わせたり縁をかがったり。経験豊富な利用者から学ぶことも多い。
利用者が自分を孫のようにかわいがってくれたことで、高齢者介護に興味が湧いた。ただ、高齢者の人口が減少に転ずる未来を考えたとき、多くの理学療法士と同様に医療機関に勤めたままでは淘汰されてしまうのではないかという不安もあった。未来を案じながら、知識や経験の幅を広げるためにもと、まずは病院に就職。あるとき、日本理学療法学生協会で知り合った友達が上げた「利用者さんと旅行に行きました」というSNSの投稿を発見した。デイサービスで旅行? 一体どういうこと?
「なんでもその事業所は旅行会社も運営していて、旅行のサービスを提供していたんです。これは自分の目で見ておきたいなと、見学に行きました。僕はそれまで、おじいちゃんやおばあちゃんは施設で座っている状態が当たり前だと思ってたんです。でも、旅行に行くとめっちゃ歩くし喋るし、元気なんですよ。病院や施設にいるより、旅先で見せる顔のほうが素敵だった。その姿を目の当たりにして、これだ! と」
「3年だけ修業させてください!」と頼み込み、翌年4月から愛知県豊田市のデイサービスに勤務した。平日は事業所で働き、週末は旅行支援へ。
左/ メンバーの中山千香さん(左)とは頻繁に情報共有。
中/立ち上げ時の小武悠さん。現在は京都のデザイン会社に勤務しつつ遠隔でバックアップ中。
右/施工前。作業台は岡山県立大学建築学科の学生と制作。静養室の壁は近所の塾の生徒に塗ってもらった。
「旅行に限らず、利用者さんのチャレンジを応援し、背中を押す活動をしてきました。脳出血で半身が動きづらい人が『マラソン大会に出たい』と言えば、1年間練習して伴走したことも。やりたいことに挑戦すると、皆さんどんどん元気になるし、笑顔になる。つまり人生を楽しめてるんですよね。そういうケアをやるべきだなと思いました。誰かに決められるのではなく、元気になるために行きたい、そう思える場所を作りたいなと」
長く主婦に専念してきた利用者さんはお料理が得意な方が多い。僕たちが作った昼食の献立を見てもらったり、メニューのアイデアをいただいたりしながら、一緒に考えています」と土井さん。実際に調理してもらうことも多く、安全面に気をつけながらスタッフも一緒にキッチンに立つ。
修業を終えた土井さんは、地元岡山にデイサービスを作ると決めた。ずっと岡山が好きだったし、広島や愛知で暮らすうち、岡山弁で思う存分話したいという気持ちもあった。プロジェクトを立ち上げるにあたり、賛同してくれたのが大学時代に一緒に学んだ、中山千香さんと小武悠さんだ。3人はお弁当容器などを作る資材工場だった空き物件を見つけ、クラウドファンディングで資金を集めた。そして、晴れて今年8月に開所。少しずつ利用者の登録も進んでいる。
予定では今日のおかずは「鮭の西京焼き」だったけれど、急遽メニューを変更してホイル焼きに。こういった臨機応変さも少人数で切り盛りする「Soda」ならでは。ひじきを煮ながら錦糸卵を作り、きゅうりを千切りにして、鮭をホイルで蒸す。素麺を茹でる間に休憩したらてきぱきと配膳。あっという間にお昼ごはんが出来上がった。一緒のテーブルで、並んでいただきます!
「日常生活の動作や活動を促す環境を調整することで機能訓練の側面もしっかり持たせています。今後は味噌や麹造りのようなスタッフの趣味も取り入れて、利用者さんを巻き込んでいきたいです。『Soda』の名前の由来は、『そうだ、一緒にやってみよう』。誰かのために何かやりたい、その思いは生きる希望ややりがいに繋がりますし、そう前向きに思える場所になってほしいんです」
左/本屋を営むのが夢だった中山さんが選書している土間の書店。おすすめは絵本『ことばのかたち』、歌集の『たやすみなさい』、著者が綴る言葉が心地よい『置かれた場所であばれたい』。
右/書棚の隣は駄菓子屋。近所の子供が利用者と交流することも。
インフォメーション

デイサービス Soda
2024年8月に開所した、小さな本屋と駄菓子屋を併設するデイサービス。通所介護事業を主軸に、旅行支援なども行う。総社市および、送迎が可能な岡山市・倉敷市の一部に住む要介護者、要支援者が利用可。
◯岡山県総社市総社3-1-14 ☎0866·33·0802
ananの記事はこちら。
https://ananweb.jp/anan/571819/
こここの記事はこちら。
https://co-coco.jp/series/nursing/
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