ライフスタイル

【#4】今日もとりとめのないことを

執筆: 鈴木杏

2024年2月1日

鈴木杏


photo: Seiji Kondo(portrait)
illustration & text: Anne Suzuki
edit: Yukako Kazuno

稽古休みの日。犬に起こされてお散歩や家事などをやっているとあっという間に過ぎていく。以前は休みの日となれば、観劇や友人と会ったりとせっせと街に繰り出していたけれど、気がついたらパタリとそれらの欲求はなくなり、出来るだけ家に居たいと思うようになった。

さらに最近はInstagramやネットニュース、YouTubeなどの情報を自分の中に取り入れることを減らした方が良さそうだと感じ、気をつけている。

刺激や助言が必要だった時期を越え、何かが変わりはじめている。無理をせず、がんばらない。外界から少し離れて身を守って、自分の世界に閉じこもるような。そして自分を再構築していくような、そんなタイミングに今私はいる。まるでサナギのようだ。

今年の後半から、このサナギがますます深まる予感。とにかくいけるところまで深めてみたい。人生すでにあらゆる影響を受けているから、完全なるオリジナルなんてないかもしれない。それでも、もっと自分の純度を高めていきたい。私が変われば、見える世界も変わる。そのことをもっと体験していきたい。一度きりの人生の中で、何度でも出会い直せる世界。その果てしない可能性。ワクワクしている。

プロフィール

鈴木杏

すずき・あん | 女優。1987年東京都生まれ。1996年にTVドラマでデビュー後、多くのドラマ、映画で活躍。2003年『奇跡の人』で初舞台を踏む。2021年、舞台『殺意 ストリップショウ』『真夏の夜の夢』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、読売演劇大賞 大賞・最優秀女優賞、紀伊國屋演劇賞個人賞に輝く。近年は個展などアーティスト活動も行う。KERA CROSS第五弾『骨と軽蔑』が、2月23日より日比谷・シアタークリエにて上演予定。

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