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〈BEAMS PLUS〉の春夏シーズン’24のお話。
2024年2月1日
text: MZO
ボンジュール、こんにちは。〈BEAMS PLUS〉のディレクター、MZOこと溝端秀基です。現在パリにて春夏シーズンの展示を開催中。合間をぬって執筆していたらついフランス語が出てしまいました……!
さて今回も、2024年春夏シーズンの紹介をしていきます! 今シーズンも700種類を超えたアイテムから選りすぐられた36体のスタイリングをコンテンツサイトでご覧いただけます。ブランドが大切にしているアイビー、ミリタリー、ワークウェア、スポーツウェアを軸に「今ならこう着るね」「新しい機能があったら嬉しいな」と仲間と話し合いを重ね、ビンテージアイテムを観察。素材に隠れたカルチャーを深掘りし続けて“クラシックだけど新しい!”と思ってもらえるようなアイテムをたくさん作りました。
まずこだわったのが「軽さ」。コレクションを作り上げる中で、この言葉を一番意識しました。とにかく日本は夏が長い……ようやく冬が来ましたが、春夏コレクションでもアウターやジャケットを提案するには必須の要素。羽衣のようなフワッとした布をイメージしながら、オリジナルファブリックを作り込み、男らしさの漂うアイテムに落とし込んでいます。
新型のブルゾンは、アメリカのアウトドアブランドからひらめいたもの。ラフに羽織れるところがお気に入りです。背中部分に風が抜ける大きなベンチレーションもナイスディテール👍素材は、コットンとシルクの混紡素材で玉虫見えするシャンブレー生地。上品な仕上がりになりました。シャツのように軽いので、暖かくなったらショーツと合わせるのもおすすめです。
続いてパンツのご紹介。リネン100%で織り上げられたメッシュチェックは、インディアン マドラスの軽さと柔らかさをイメージしました。不均一なリネンの糸を使うことで、再現できています。メッシュは透けすぎないので、インナーを気にせずにコーディネートできるのも嬉しいポイント。リゾートスタイルなんかにいいね。
ブルゾンは、アメリカの老舗ブランドのフィールドジャケットをベースにしました。ポケットがたくさんついていて、襟の中にはフードがしまえる優れもの。こちらもオリジナルファブリックで、軽いキャンバス素材をシャンブレーで織り上げています。薄いのに丈夫さを兼ね揃えたキャンバスはきっとどこにもないはず。
メッシュ部分をよーく見るとアーガイル柄になっています。コットンリネンの原料を使い、シャリっとした質感とハリコシが特徴。肌触りはさらっとしていて軽い着心地を味わえます。パンツはヨーロッパのミリタリーのスリーピングウェアをヒントにゆったり着られるように作りました。小さなドット状の穴が空いた通気性のいい素材に、渋めのペイズリープリント。ヤシの木と浜辺が似合う、そんなスタイルです。
久しぶりにフライトジャケットを作りました。フ“ライト”……(笑)。さりげない光沢感を表すために、細めの糸を使って上品に仕上げたサテン素材。色褪せた雰囲気が素材の軽さを引き立たせ、ドレープ感も相まって大人っぽく着ていただけるジャケットに仕上がりました。
軽さの次は「柄」について。プリントはもちろん、先シーズン山形県の米沢で制作したジャカード。現代のテクノロジーと共に原料研究を進めたからこそ、生み出せたものがたくさんあります。他にはない〈BEAMS PLUS〉らしさが詰まったアイテムを紹介します。
今シーズン一番‼︎ といっても過言ではない、スペシャルファブリック。写真だけでは、全ての良さが伝えきれないのが悔しいですが……この生地にかけた想いを全力で綴らせてください。
きっかけは、ヴィンテージのパッチワークシャツを手に入れたことから。タータンチェックとハンティングシーンがマス目に描かれたユニークな柄が印象的で、いてもたってもいられず企画を練りました。「ジャガードとプリントを合わせてなにかできないか……」そう考えた僕は、季節に合わせてマドラスチェックを採用することに。当時のハンティングシーンは、少し過激だったので絵のタッチはそのままにハッピーな雰囲気に変更。それぞれの生地をマス目に落とし込み、チェック部分にはジャガード、イラスト部分はソリッドで表現しました。仕上げに、マッピングプリントをして完成。角度や光の加減で「この素材はなんだ?」と驚かせることができるはず……と意気込んで昨年の海外出張にサンプルを着て行ったところ、デザイナーの方々に「これ、どうなっているの?」「hahaha!! You’re Crazy!!(褒め言葉なはず)」と声をかけてもらいました。
そんな渾身のファブリックは、ポリエステルの原料を使用。格子部分に凹凸があり、肌触りも涼しげに。もちろん生地も軽く仕上げてもらいました。キャンプカラーシャツ、ワークシャツ、ショーツの3型に落とし込み、〈BEAMS PLUS〉のスタイルに合わせやすいアイテムが誕生。
鮮やかなナイスエメラルドグリーン。膝が隠れるか? の丈を採用したニューアイテム。生地は、山形県の米沢で編み上げられたカットジャガード。本来なら色や柄を表現するために、素材の裏側にたくさんの糸が重なりますが、不要な部分をていねいにカットすることで素材が軽くなっています。動物のモチーフはアメリカのヴィンテージグラスから思いついたもので、色、グラデーション、凹凸感を忠実に再現することができました。
最後に紹介したいのは、先ほどの動物モチーフをジャガードに編み上げて再現したニット。夏でも着られるような軽い素材で作りました。ゆったりめに女性が着こなすのも可愛いのでおすすめです。
まだまだこだわりがたくさんあるのですが、この辺で……! ぜひコンテンツサイトで、紹介しきれなかったアイテムをチェックしてみてください。今回もたくさんのオリジナルファブリックを生み出せたのは、日本中にいる〈BEAMS PLUS〉サポートメンバーのおかげです。この場を借りて、お礼をさせてください。
「みんなが、世界が、あっと驚く。そしてお客様の手元に残り喜ばれる商品作りのお手伝いを引き続きよろしくお願いします。いつもありがとうございます。」
それでは、展示会場に戻ります。パリのあとは、ニューヨークの『PROJECT SHOW』でもイベントを開催する予定なので、楽しんできます! それにしても、今年のパリはかなり寒い。昨シーズンの「Expedition Down」を持ってくるべきだったと反省。
プロフィール
溝端秀基
みぞばた・ひでき|1982年、大阪府生まれ。2016年に〈BEAMS PLUS〉のディレクターに就任。仕事仲間からは“MZO(みぞ)”という愛称で親しまれている。POPEYE Webへの寄稿は3回目。
インフォメーション
BEAMS PLUS
36体のスタイリングが並ぶ、春夏コレクション特設サイトがオープン。ここで紹介したアイテムの他にもボタンダウンシャツやジャケットなども。
Instagram
https://www.instagram.com/beams_plus/
Official Website
https://www.beams.co.jp/special/beamsplus/2024ss/
YouTube(Look movie)
https://www.youtube.com/watch?v=63xqIreFGpI&t=6s
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