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40周年を迎えた〈Gショック〉と音楽の話。
G-SHOCK
2023年12月20日
photo: Naoto Date
illustration: Adrian Hogan
text: Koji Toyoda
〈Gショック〉は音楽とともに歩んできた。
〈Gショック〉、そろそろ欲しいなぁと思っていた矢先、アジアを代表する音楽レーベル「88rising」のエース、リッチ・ブライアンとのコラボレーションモデルが発表された。鮮やかなスカイブルーのケースに、ピンクの差し色がアクセントになったトイっぽいルックスは、「ザ・タフネス」なイメージをいい意味で裏切ってくれて、俄然ゲットしたい欲求が高まった。でも、ふと思い返してみれば、〈Gショック〉ってミュージシャンとの関係性が深いのではないか。まだ、“落としても壊れない丈夫な時計”(©︎伊部菊雄)の認知度が低い1985年のこと、ロンドンのハイドパークで開かれたフェス『ライブエイド』でスティングが初期型の「DW-5200C」を装着する姿を目撃されて以来、ミュージシャンたちは、“G”を好んで身に着けてきた歴史があるのだ。それは激しく、過激なライブパフォーマンスをしても壊れないから? あるいは’90年代の〈Gショック〉ブーム以降、ストリートギアを象徴するアイコンになったから? その理由は定かではないけれど、1999年にはエリック・クラプトンがコラボモデルを発表したり、2007年の米カルチャー誌『コンプレックス』の表紙を飾ったカニエ・ウエストの手元にはピンク色の〈ア ベイシング エイプ〉コラボの「DW-6900」が誇らしげに輝いていたり。’10年以降は、エミネムにエイサップ・ファーグ、ゴリラズ、ジョン・メイヤーにエド・シーランなど、ジャンルに縛られず音楽界のトップランカーとのコラボレーションを次々実現させていった。にしても、2015年に公開されたリアーナの「ルードボーイ」のMVは鮮烈だった。カラフルなベイビーGをいくつも連結し、ブレスレット代わりに使うとは! 大物ミュージシャンの手元に〈Gショック〉あり。もはや彼らにとって〈Gショック〉は、スニーカーのように自らのアイデンティティを標榜するアイコンのようなものなのかもしれない。
STING
’80年代、そのルックスと渋い歌声で世界的なヒーローだった「ポリス」のフロントマン、スティングが、おそらくミュージシャンで初めて〈Gショック〉を身に着けた人物だろう。彼は、「DW-5200C」というモデルを愛用したが、その後継で丸型の「DW-5700C」が「スティングモデル」として認知されるように。
KANYE WEST
かのキング、ジェイ・Zに見いだされ、2004年に発表したアルバム『ザ・カレッジ・ドロップアウト』で一躍ラップゲームの頂上に躍り出たカニエ。当時からファッションセンスも抜群で、ブリンブリンな時計とは別腹に、〈Gショック〉もちゃっかり愛用。もちろんキッズたちは、〈ア ベイシング エイプ〉コラボの「DW-6900」を血眼で探すことに。2009年8月5日に開催された25周年記念イベントにもヘッドライナーとして出演していた。
EMINEM
噂によると、エミネムも〈Gショック〉フリーク。2013年にエミネムモデルを製作しているが、プライベートでは、通称「フロッグマン」のバーニングレッドカラーを身に着け、2020年に発表された「Higher」のMVでは、ブリンブリンな「GM-110G-1A9JF」を装着。デトロイト出身のタフガイは、“G”がよくお似合い。彼もまた2013年8月7日にNY「マンハッタンセンター」にて行われた30周年記念イベントでお気に入りの一本をしてラップを披露していた。
A$AP Ferg
ハーレムを代表する人気アーティストコレクティブ「エイサップ・モブ」の一員、エイサップ・ファーグは、2017年、〈Gショック〉35周年に際した記念すべき節目に突如コラボモデルを発表。NY「マディソン・スクエア・ガーデン」で開かれた記念イベントでも”G-SHOCK on my wrist, everything foreign”とその愛を披露。
Gorillaz
Ed Sheeran
そして40周年を迎えた2023年、舞台はインドネシアへ。
NIKI
バリ島のリゾートホテル「ポテトヘッド バリ」のビーチクラブで開催された〈Gショック〉40周年記念イベントでは「88rising」の紅一点でインドネシアのディーバ、NIKIがライブを披露。リッチと同じくジャカルタ出身の彼女の人気は凄まじく、観客はオールスタンディングで、NIKIと一緒に合唱。そんな彼女の華奢な腕には角型Gが。彼女が着用していたのは、「GM-S5600BR-5JF」。
Warren Hue
ライブイベントのトップバッターは、ウォーレン・ヒュー。ジャカルタ生まれの「88rising」所属のラッパーで、先輩のリッチ・ブライアン曰く、「アジアンラップのシンボル」と評するヤングブラッド。昨年は、『NME』誌で2022年の重要な新人アーティストに選ばれるなど、その人気はうなぎ上り。甘いルックスも相まって、シティガール人気も高し。
Rich Brian
12月2日、バリ島屈指のリゾートホテル「ポテトヘッド バリ」(〈スペース・アベイラブル〉のデザイナーがアートディレクションを担当)で開催された〈Gショック〉40周年記念イベントは、アジア各地からファッションインフルエンサーが集まった、華やかで、終始和やかなムードに溢れたイベントだった。NIKIやWarren Hueのライブ前には、ホテルの中央広場で、バリダンスの披露。ガムラン音楽を奏でる演者の腕にもしっかり〈Gショック〉!
この日の主役、ゴッドファザー・オブ・〈Gショック〉の一人、伊部菊雄さんも、柄シャツを羽織ってリゾート気分。でも、手元にはいつもと変わらず、1983年に自らが考案した初号機「DW-5000C」のデザインを継承した「GW-M5610-1JF」を装着。「もうずっとこればっかりでして。赤、白、黒の3本使いで、毎日ローテーションしています」。この話を聞いたら、初代が気になってくる。
「ポテトヘッド バリ」の広場には、フューチュラ2000のバカデカいモニュメントがドーンと鎮座。そして、この日は、ライブ前に行われた40周年記念のメディアカンファレンスのゲストとして、スタッシュも登場! NYのレジェンドたちがバリ島で偶然にも再会。お隣は「W+K」のブライアン・ティルソン。
イギリスで音楽と繋がり、アメリカを経てアジアに凱旋した〈Gショック〉。
25周年以来、世界各地を舞台に豪華な音楽イベントを数々開催し、これまで述べてきたように音楽との結びつきが強い〈Gショック〉。そんなポップカルチャーの申し子的なブランドもようやく“アジア”に戻りつつある。40周年という大きな節目を迎えた2023年は、日米でさまざまなライブやイベントを開催してきたが、その集大成となる12月に開催地として選んだのが、意外にもインドネシアはバリ島。「ポテトヘッド バリ」で開かれた40周年記念イベントで初お披露目された別注モデルのお相手、リッチ・ブライアンをはじめ、NIKIやWarren Hueが看板を務める、アジアを代表するレーベル「88rising」やK-POPの快進撃は、世界的なミュージックゲームの構図に大きな変革をもたらしている。バリやジャカルタなど、インドネシア全土や東南アジアでのヤングなミュージシャンの台頭が著しいし、そんなインドネシアを、40周年を祝う地に選んだ〈Gショック〉は、1983年に“落としても壊れない時計”というパンクなコンセプトを掲げてスタートした40年前から、先見の明が衰え知らずだってことなのかもしれない。実直な計器としてのタフネスだけでなく、多様な音楽カルチャーと密接に結びついてきた40年。100周年を迎えた暁には、大気圏を突破して宇宙ステーションがその会場に選ばれるかもしれないね。
インフォメーション
G-SHOCK
カシオ ☎︎0120・088・925
Official Website
https://gshock.casio.com/
イベントの様子はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=jOOszLnVO3I
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