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きみは、「ユーロハイカー」を知っているか?

Timberland

2023年3月1日

illustration: Naoki Shoji
photo: Naoto Date
text: POPEYE

左イラストが1978年に誕生した3アイレット モカシンシューズ。右イラストは1973年誕生の「ティンバーランドブーツ」、通称イエローブーツ。

イエローブーツか3アイレットのモカシン。
1足は持ってるよね、〈ティンバーランド〉。

今日は何を履こうかな? ふと玄関を見渡してみる。かかとのすり減ったスケシューに履き込んだランニングシューズ、かしこまった日のために磨いてあるプレーントゥのドレスシューズなどなど、いろんな目的で集まった靴たちが並んでいる。その中にやはり、〈ティンバーランド〉もある。きみの家の玄関にも、3アイレットのモカシンシューズか、イエローブーツか、どちらか1足はあるんじゃないかな。しかし待てよ、〈ティンバーランド〉ってもともとは何をするために作られた靴なのだろう? なんとなくワークなイメージはあるけれど。

〈ティンバーランド〉の前身、〈アビントン シューカンパニー〉の最初の靴工場。ニューハンプシャー州のニューマーケットという、ボストンから少し北にある街にあった。創業者ネイサン・シュワーツから会社を受け継いだシドニー・シュワーツこそが、〈ティンバーランド〉の産みの親。創業者に劣らず偉大な2世。

定番の「ティンバーランドブーツ」は、
ボストンの労働者たちに向けて作られた。

話は70年ほどさかのぼる。戦後だね。〈アビントン・シューカンパニー〉という靴メーカーを1952年に創業したネイサン・シュワーツは、息子のシドニー・シュワーツにその技術を伝えていた。シドニーは、ボストンの工場労働者や建設作業員たちが、野外で雨の中働いても、思わず水たまりを踏んづけてしまっても浸水せず、しかもできるだけタフなレザーシューズを切望していることをいつしか知り、完全防水の「ティンバーランドブーツ」を生み出した。と同時に社名まで〈ティンバーランド〉に変えてしまった。よほど自信があったのか、それともイチかバチかの大勝負だったのか……。ともかく「ティンバーランドブーツ」は見事に市民権を得て、アメリカの誰もが〈ティンバーランド〉を知ることとなった。そして1978年には3アイレットのモカシンシューズも発表。というのが初期のブランドヒストリーだ。B-BOYのアイコンというイメージが強かったけれど、しっかりアメリカのワークウェアの歴史とともにあったんだね。

イラストのシューズが「ユーロハイカーハイキングブーツ」。写真はヨーロッパのアルプス山脈モンブラン山塊の一角、グランド・ジョラスのハイキング・ルート。ⒸAflo

そして気になる第三のシューズ、
「ユーロハイカー」が誕生した。

〈ティンバーランド〉の名がアメリカ中に轟いたかと思えば、すぐにその勢いは当時のファッションの首都・ミラノまで及んでいたようだ。1985年、8月18日付の『ニューヨークタイムズ』紙の記事では、ミラノの10代の不良たちによる“ティンバーランド刈り”が横行していると報じている。またイタリアとアメリカを往来する客室乗務員は、何十足も「ティンバーランドブーツ」を買い込んで、ミラノで2倍の値段で転売していたなんてことも書いている。流行と転売。なるほど今も昔もやってることは変わらないな。
図らずしてヨーロッパ進出をも成し遂げた〈ティンバーランド〉は、当時のヨーロッパの主流だったハイキングシューズのデザインを取り入れた「ユーロハイカーハイキングブーツ」を1988年に発表した。その前提として、ヨーロッパには、イタリア、フランス、スイスにまたがる超有名トレイル、「ツール・ド・モンブラン」なんてのがあるけれど、欧州は登山文化においてアメリカよりもはるか先輩。そもそも、山を歩くこと自体を目的とした近代登山のカルチャーが生まれたのは欧州だ。実際に1970年代の欧州の登山レポートが読める『冒険論』(本多勝一著)によれば、富士山よりも高い標高3,817mの場所にある『グーテ小屋』なんて、1960年当時からヘリコプターでジュラルミンを空輸して作られたとても頑丈なものだったと記されている。ちょっと寄り道したけど、おそらくハイキングシューズだって、機能的で洗練されていたはずだ。それが証拠に、「ユーロハイカー ハイキングブーツ」は今見てもナイスな造形美。実は昨年10月に復刻したばかりなんだって。そういえば、90年代ヒップホップが好きならば一度は通るグループ、Gang Starrの4枚目のアルバム『Hard To Earn』(1994年)のジャケット裏面でDeru The Damajaが履いているのも「ユーロハイカー」だ。シュータンがせり出したルーズな履きこなし。

Gang Starrの4枚目のアルバム『Hard To Earn』(1994年)のジャケット裏面で、ゲストとして参加しているリリシストのDeru The Damaja(右端)が履いているのが「ユーロハイカー」だ。

ヨーロッパ、NYを経由して東京へ。
「ユーロハイカー」は僕らの玄関に。

そして90年代がやってくる。〈ティンバーランド〉はニューヨークのマディソン・アヴェニューに旗艦店をオープン。それが当時のヒップホップ・レジェンドたちの目に留まったきっかけだった。ウータン・クラン、モブ・ディープ、バスタ・ライムス……。数えきれないアーティストたちに愛されてきたわけだけど、今の気分で見てみると「ユーロハイカーハイキングブーツ」は色も渋くてクール。屈強さと、毎日気軽に履ける気軽さを両立した、今こそシティユースに最適な一足なのではないか。かつてラッパーのNASが「足元のスエード・ティンブス(ティンバーランド)で俺のサイファーは完成する」(『World is Yours』)と歌ったように、2023年の僕らの玄関は「ユーロハイカー」を迎えることで完成するかもしれない! というわけで今日は「ユーロハイカー」を履いてタコスを食べに行こうっと。

2022年10月に復刻したばかりの「ユーロハイカー ハイキングブーツ」。すぐに玄関に仲間入りしてもらいたい。¥20,900(ティンバーランド/VFジャパン☎︎0120・953・844)

インフォメーション

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ティンバーランド/VFジャパン☎︎0120・953・844

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