LIFESTYLE

シティボーイのための宴会芸。Vol.6

2022.07.05(Tue)

photo: Kyuseishu & Ganjiro Hanayama
text: Michael Mitarai 
edit: Yukako Kazuno

「ミイラ」

中座芸という言葉を知っているだろうか。知っているキミはかなりの宴会芸好きだ。中座というのはトイレに行ったり電話をしたりタバコを吸いに行ったりと、その場をちょっと離れること。もちろん、宴会を中座することは誰にでもある。これは、ある意味自然現象で、責められることではない。でも、人が中座することによって宴会の温度がほんの少し下がってしまうのもまた事実だ。宴会というのは全員がバンドメンバーのライブみたいなものだからね。そこで、サービス精神旺盛な宴会場のセンパイたちは、自分が中座することで下がってしまった温度を芸で温めなおすことにした。これが、中座芸というものだ。

例えば、大きめの封筒に腕を通してギブスに見立てる「骨折」というものがある。姿を消していたこの数分で何があったの?!と想像を掻き立てられる良質な中座芸だ。ぜひ宴会芸学会のInstagramで自習してみてほしい。そして、そんな中座芸の王様として君臨するのがこの「ミイラ」だ。

トイレに行った人が、トイレットペーパーでグルグル巻きになって現れる。シティボーイが5000年前の古代エジプトのファラオに変身して帰ってくるのだから驚きだ。誰でもインスタントにできる芸でありながら、時空を超えたスケールの大きさを感じさせてくれる。くれぐれもミイラをただの干からびた遺体と侮ってはいけない。日本でも定期的に「ミイラ展」が開催され、全国で大盛況になることからもわかるように、ミイラには人間を本能的に惹きつける何かがある。その魔力を宴会に拝借するのが、この宴会芸なんだ。

肝要なのは、手先が器用な友人に手伝ってもらえるようあらかじめ頼んでおくこと。トイレットペーパーはとにかくデリケートなシロモノだ。古代エジプトでも現代でも、人は誰も一人でミイラになることはできない。みんなで力を合わせれば、ちょっとした文化祭気分も味わえる。

キングオブ・中座芸「ミイラ」。宴会の狭間に現れる、永遠の命を持つ宴会芸だ。

プロフィール

マイケル御手洗

マイケル・みたらい|1986年生まれ。日本宴会芸学会研究員。専門は宴会芸哲学。2018年に開催された第74回日本宴会芸学会で「特別講義:マイケル御手洗の宴会芸白熱教室」を開講。カントやベンサムを引用しながら“宴会芸における正義とは何か?”を語り掛ける、ナラティブでプラクティカルな講義を繰り広げ、宴会芸研究に新しい地平を切り開く。

Instagram
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YouTube
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Official Website
https://enkai-gakkai.com/

第74回日本宴会芸学会「マイケル御手洗の宴会芸白熱教室」講義録
https://note.com/enkaigei_gakkai/n/na28f8b82ef45

日本宴会芸学会のオリジナルTシャツ
https://enkaigei.paintory.com/
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