カルチャー
史上最大の単独ライブ開催!ニューヨークインタビュー【前編】
思いついても誰もやらない。ギリギリを攻めるニューヨークの笑い。
2022年6月23日
photo: Kazuharu Igarashi
text: Neo Iida
東京、大阪、福岡の3都市、全8公演。延べ5500人の動員を見込んだニューヨーク史上最大の単独ライブ『Last Message』が開催される。『NEWニューヨーク』(テレビ朝日)や『ニューヨーク恋愛市場』(AbemaTV)などの冠番組を持ち、『まだアプデしてないの?』(テレビ朝日)ではMCを務め、『ラヴィット!』(TBS)ではパネラーとして出演するなど多数のレギュラーを抱える二人の、単独ライブへの想いとは。揃って「まだ何も決まってないです」と話す、開催約1ヶ月前の吉本東京本社でのインタビュー。
前回の単独では、半分くらいカンペを見ていた。
――今(取材を行った5月31日時点)はどれくらいの進捗具合なんでしょうか。
屋敷裕政(以下、屋敷) 聞かないでほしいです。全然です。ヤバいです、もう。
――ネタづくりは始まってらっしゃるんですよね。
屋敷 そうすね、1〜2ヶ月前くらいからリモートで、作家さんと4人くらいでやってて、やっと先週ぐらいから対面で詰め始めた感じです。世間話ですね。基本、最初は。
――その段階ではコントにするか漫才にするかは決まってないんですか?
嶋佐和也(以下、嶋佐) そうです。雑談しながら笑いのタネみたいなものがワーッと出揃ったら、ネタにできそうなのないかなって。その流れで「これは漫才にしてこういう設定付けたらいいかな」「コントのシチュエーションならいけるかな」って決めていく。
屋敷 どういう風に魅せるかはあとで決める感じですかね。前回の単独『Natural』(『MOSH』でデータ販売中)でやったファミリーYouTuberのネタは、当初コントがええかなと思ってたけど漫才になりました。いつもコント漫才の本数が半々になるようにって決めてるんで、コントが4本決まったのに漫才が2本で止まってたら、残りは漫才めがけて考えなあかんなあとか。ネタづくりの後半はいつもそんな感じすねえ。
――去年の単独の時点ですでに忙しい状態でしたよね。
屋敷 驚異の追い上げでした。厳密には間に合ってなかったし。初日とか無茶苦茶だったんで。
嶋佐 半分くらいカンペみながらやってたんですよ。
――カンペを?
嶋佐 たまたまなんですけど、カンペを見ながらやれるコントがいくつかあって。
屋敷 「ウェディングプランナー」とかな。
嶋佐 「Natural」(ライブタイトルと同名のコント)に出てくる卒アルにも全部貼ったし。
屋敷 あれ意味なかったよな。卒アル見ずに話す長台詞のほうがヤバかったから。
――そうやって忙しくなると、世間に対する目線って変わるような気がするんです。ネタ作りに際して、考え方って変わってきましたか?
屋敷 うーん、腹立つことは若いときのほうが多かったかもしれないです。目線も変わってきてるんじゃないですかね。あんまり腹立たなかったりもしますからね。
嶋佐 自分の中では一緒だなとは思うんですけど、まあ、自分たちの状況もですけど、世の中も変わってきてますもんね。
屋敷 「スピード違反」とか、もともと嶋佐が警備員のバイトしてたときの体験談なんすよ。めっちゃ金ないのに、自分より若いやつがハマー乗ってるって、めちゃくちゃ刺激ある話やなと思って。でも今はめっちゃ若い子がハマー乗ってても、すげえなあとかかっけえなあとか思っちゃいそうですよね。おじさんになっちゃったから。
――変化のなかでブレずにネタを考えるって、結構しんどいのではないでしょうか。
屋敷 でも去年、35歳の嶋佐が過去に買ったいちばん高価な買い物が8万円のダウンジャケットやったんすけど、同じ服をAbemaの恋愛リアリティショーに出てる高校生が普通に着てたことがあって。それとかネタにできるんちゃう?
嶋左 あー、そのまんまネタにしようかな。
新しい扉が開くのは、
「やったらあかんやろ」というネタが出来たとき。
――なるほど、やっぱりお二人にとっては身の回りで起こったことが重要なわけですね。ちょっとした歪みというか、いびつな状況に出くわすというか。
嶋佐 Dragon Ashのネタも実体験ですからね。僕が中学のとき、ヤンキーが卒業式でDragon Ashの「Fantasista」を歌いたいって言い出して。
屋敷 あれは革命的でした。実際にあったことをそのままネタにするっていうのを、2年目か3年目のときに初めてやって。今でも覚えてんねんけど、正月に、翌日のネタ見せ用のネタを本社で作ってて。でも全然できんくて、雑談で面白かった嶋佐の話をネタにしたらええんちゃうって話になったんです。
――初めて見たとき衝撃を受けました。まさか「Fantasista」がネタになるなんて。
屋敷 俺らも最初はそんなのアリなんかな?っていう感覚があったんすよ。でもやってみたら感触が良かったんで、ひとつベースができた感じです。ゼロから変なことやるんじゃなくて、実際にあった話を軸に描いてみいひん?みたいな。
――実話に着想を得ることは他の芸人さんでもあると思うんですけど、そのままっていうのがすごいですね。
屋敷 そもそも良しとされてないんだと思います。だってDragon Ashでおじいちゃんおばあちゃん笑わないですもん。賞レースにも出しづらいし。
嶋佐 固有名詞だしね。
――でも、他にも屋敷さんがKREVAさんにバッタリ遭遇するネタとか……。
屋敷 あれは実話ベースのDragon Ashとはまたちょっと違う文脈なんすよね。
――そうか、実際にあった話ではないわけですもんね。
嶋佐 すごいことやってますよ、想像モノマネ漫才(笑)。
屋敷 カフェかなんかで5時間くらいネタ合わせしてて、嶋佐が「そのまんまの感じでKREVAやる?」って言い出して。その時も、ないんちゃう?って思ったんです最初は。
嶋佐 多分、思いついても誰もやらないんですよ。
屋敷 「もしもKREVAがいたら」なんて、おもんないNSC生がやりそうなことじゃないですか。しかもモノマネもニュアンスだけの絶妙な感じで。
――とはいえ、人選が絶妙だなと思いましたよ。
嶋佐 世代ですね、それは。
屋敷 一応俺らのなかであったんですよ。志村けんさんとかタモリさんとか、みんながモノマネしそうな大御所をやったら“モノマネ漫才”になってまうけど、KREVAさんやったらギリギリ“漫才”になるんちゃうんかって。
――KREVAさんの延長線上には、『M-1グランプリ2021』の敗者復活戦でも披露した稲垣吾郎さんのネタがあるわけですもんね。
嶋佐 そうですね。最近は本人公認になってきました。
――DVD(『THE NEW YORK〜Love&Peace〜 ベスト・オブ・ニューヨーク』)に収録されている「ヤンキー」の、“窪塚洋介さんが演じるタイプのヤンキー”という角度も最高でした。
屋敷 「窪塚タイプのヤンキーやから」なんてツッコミ、誰にも伝わらんと思ってたんですよ。「映画やドラマにはいろんなヤンキーが登場するけど、窪塚さんが演じるヤンキーは特殊」って認識持ってるの、俺らくらいだと思ってて。でもお客さんにめっちゃウケて、扉が開いたっていうか。こんなんアリなんやと。
――“あるあるネタ”ではないのに、確実に共感できるんですよ。
屋敷 発明ってほどではないですけど、新しい扉が開くのって「それはやったらあかんやろ」っていうネタが出来たときなんすよ。そもそも、中学時代のヤンキーがDragon Ash歌いたいって言ってたエピソードをコントにするなんて、そんな発想なかったし。もっといえばKREVAさんのネタはコントじゃなくて漫才やし。
――確かに発明ですねえ。
屋敷 いや発明っていうにはそんなカッコよくねえ(笑)。
プロフィール
ニューヨーク
インフォメーション
ニューヨーク単独ライブ『Last Message』
・大阪(COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホール)
6月25日(土)17:00 開場 18:30 開演
6月26日(日)①11:00 開場 12:30 開演 ②15:30 開場 17:00 開演
・福岡(よしもと福岡 大和証券 /CONNECT 劇場)
7月18日(月)17:00 開場 18:00 開演
・東京(恵比寿ガーデンホール)
7月30日(土)①11:00 開場 12:30 開演 ②15:30 開場 17:00 開演
7月31日(日)①11:00 開場 12:30 開演 ②15:30 開場 17:00 開演
〈チケット情報〉
前売4,500円(FANYで販売中)
※未就学児童不可
※当日券に関しては要問い合わせ
※オンライン配信あり(7月31日(日)恵比寿ガーデンホール公演のみ)
オンライン配信公演が好評につき、見逃し配信延長が決定。
販売期間:8月14日(日)12:00まで/見逃し視聴:8月14日(日)17:00まで
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