ピピッ!という音がして New Bohemia Signs のガラスのドアが開き、フォトグラファーのユウジさんが入って来ました。事前に「ポパイのタウントークで面白い企画を思いついたから、一緒にやらない?」とメッセージを貰っていたので詳しく話を聞くと、サンフランシスコの街のサインの中から、僕が好きなものをピックアップして、一緒に撮影に回って記事にするという内容。面白そう!是非やりましょう!トントン拍子で話は進み、日曜日に撮影に行くことが決まりました。
サインとは看板のことです。そのサインを筆と塗料を使って手描きで制作する技法をサインペインティングといいます。僕はそのサインペインティングを生業としていて、昨年の8月からサンフランシスコの手描き専門サインショップ New Bohemia Signs で働いています。
看板は世界中にありますが、国や場所によってデザインや書体も全然違っていて、その街に住む人々の好みや生活を反映しています。そして建物と合わさって街の風景を作っています。僕はサンフランシスコのサインが大好きです。このタウントークでは4週にわたって、中でも特にお気に入りのサインを紹介させて貰いますね!

まずはフェリープラザにあるオーガニックマッシュルームショップ 「FAR WEST FUNGI」のサインです。デザイン、ペイント共に New Bohemia Signs。上部ガラス部分にギルディング(金箔を鏡面仕上げで施工する方法)で、ロゴと商品について描かれたサインが目を引きます。背景を黒にすることで、金箔がより際立っていますね。Rから伸びたリボンがロゴ全体をバランス良く装飾しています。



中に入ると沢山の手描きのサインが店内を彩ります。四角いボードを横のラインで塗り分け、様々な書体を使ってデザインされたサインボードは、独特の洒落た色味も相まって、ずっと見ていても飽きがきません。キノコの形で切り抜いた、いかにも手描きのサインボードも可愛らしく本物のキノコとマッチしています。


次は Valencia ストリートにあるハーブ専門店「The Scarlet Sage Herb Co.」のサインです。デザイン、ペイント共に Caitlyn Galloway。建物とマッチしたカラーリングと独特の美しいイラストレーション、クラシックでありながらオリジナルなレタリングが目を引きます。上品さと可愛らしさの絶妙なバランスが素晴らしいです。


最後に紹介するのは、4thストリートにある「THE UTAH INN HOTEL」のサインです。作者は不明。縦長に大きくインパクトが強いロゴが描かれています。サンフランシスコらしいデザインの建物と相まって街の風景を作っています。建物の色もいいですね!また、Theから伸びた装飾がUの文字の中に入っているデザインも面白いです。
プロフィール
中原真也
なかはら・しんや|Modern Twist Signs 代表。サインペインター、デザイナー。1977年生まれ。徳島県出身。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。デザイナーとして音楽に纏わるデザインを手掛けた後、2013年にドキュメンタリー映画”Sign Painters”を見て、サンフランシスコのサインショップ New Bohemia Signs に魅了される。2015年単身渡米、New Bohemia Signs にて修行。帰国後 Modern Twist Signs を設立。池尻大橋に実店舗を構え、都内から地方まで数多くの看板やデザインを制作。2021年6月サンフランシスコヘ活動の拠点を移す。現在は New Bohemia Signs のサインペインターとして、ベイエリアのレストランやカフェなどのローカル店舗を中心に、SFMOMA や Facebook などの大型施設から大きな壁画まで幅広くペイント活動中。2022年5月より、サンフランシスコの生活で感じた「自分と違う」人や事をテーマに友達のシュンタと話すトーク番組「Different from Me」がPodcastにて配信中。
Instagram
www.instagram.com/moderntwistsigns/
Official Website
www.moderntwistsigns.com/
Podcast「Different from Me」
https://open.spotify.com/show/386TUBMfimFaeAnwfzZTPT
Yuji Wat(ユウジさん)
ゆうじ・わっと|東京生まれ、サンフランシスコ在中。映像作家、写真係、MUNISF主宰。故大瀧ひろし氏からアメリカの魅力と攻略法を学び、カリフォルニアに通い始める。後にサンフランシスコの異色サーファー達をフューチャーした映像作品 [ TGH ] を発表。現在、雑誌や広告撮影を中心に活動中。愛犬家。