『青山真治クロニクルズ』を読む。

樋口泰人(編)
2022年にこの世を去った青山真治監督。その試行錯誤の足跡を、生前に監督自身が残した言葉や、仲間たちの言葉からだどる凶器レベルに分厚い1冊。『共喰い』に出演して人生が変わったという菅田将暉くんのインタビューによれば、青山監督はロックスターみたいな人だったらしい。なんか納得。リトルモア/¥7,480
自然という書物 15~19世紀のナチュラルヒストリー&アート @町田市立国際版画美術館

町田の穴場スポット・町田市立国際版画美術館で開催中の「自然という書物」展。こちらは15世紀から19世紀までの西洋のナチュラルヒストリー(自然誌/博物学)とアート(美術/技芸)のつながりに注目し、人間が表してきた自然のすがた・かたちを紹介する展覧会となっている。活字・版画などの印刷技術が果たしてきた役割を確認するとともに、自然の図解に用いられた美術の表現手法も見逃せないポイント。幻想・空想の動物への自由な表現や精緻な植物図解など、先人たちの記述・描写にかける情熱にびっくりすること間違いなし。会期も後半で、展示替えならぬページ替えが行われているので、一度行った人もぜひ!
ラテンアメリカの民衆芸術 @国立民族学博物館 特別展示館

北はメキシコ、南はアルゼンチンまで。「ラテンアメリカの民衆芸術」では、豊かな先住民文化や、流入してきたキリスト教文化、そしてそれらを受け入れ融合し、発展してきた独自の芸術様式を一望できる。その造形や配色のセンスに「かわいい!」という感想で消費してしまいそうになるが、そこに秘められた搾取構造や暴力への批判的な視線・精神性を映し出す展示にはハッとさせられるものがある。生活に身近なアートだからこそ、暮らしの問題そのものを映し出す鏡として芸術が機能している。そう、ここにあるのはあくまで「Arte Popular(アルテ・ポプラル)」と彼らが呼ぶ世界そのものなのだ!