語り:仲里依紗
『アニエス・ヴァルダ 愛と記憶のシネアスト (ドキュメンタリー叢書)』

金子遊 他(編)
『5時から7時までのクレオ』や『幸福』など数々の名作を作り、2019年に90歳で没した映画作家のアニエス・ヴァルダ。こちらは彼女の全貌に迫った論集だ。娘へのインタビューや、夫であり映画監督でもあったジャック・ドゥミ(『シェルブールの雨傘』の人ね)との関係などについても知れて、勉強になる。¥2,200/neoneo編集室
『空白』吉田恵輔(監)

ひとりの女子中学生がスーパーで万引き未遂をする。それを発見した店長は、彼女を事務所に連れていくが、女子中学生は逃亡。しばしの追いかけっこを繰り広げた挙げ句、彼女は道路で車に轢かれ、亡くなってしまう。娘がそんなことをするとは信じられない女子中学生の父は、店長や学校を執拗に責める。彼自身、生前の娘に興味を示さなかったのを棚に上げて……。これを面白おかしく取り上げるのはマスコミだ。かくして、少女の死という悲劇は、小さな善意と小さな悪意の複雑な連鎖により、より悪い方へ転がっていく。正直、観ていてつらい。しかし、これが現実なのかも。9月23日より全国公開。
ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island -あなたの眼はわたしの島-@水戸芸術館

色彩に満ちた世界をユーモアたっぷりに切り取ってみせる映像や、心地よい音楽や空間設計によるヴィデオ・インスタレーションなど、国を越えて幅広い世代の観客を魅了してきたピピロッティ・リストは1980年代からスイスを拠点に活動するアーティスト。本展は、身体、ジェンダー、自然、エコロジーを主題とした作品およそ40点で構成。この時期は臨時休館もあるので遊びに行く前にHPをチェックしよう!
TOKAS Project Vol. 4 「道と根」@トーキョーアーツアンドスペース本郷

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)とクンストラウム・クロイツベルク/ベタニエンとの交流は今年で10周年。本展では、TOKASのレジデンス・プログラムに参加経験を持つドイツ拠点のアーティストを紹介。参加作家は杉藤良江、武田竜真、シンゴ・ヨシダ、マーティン・エブナー、ヨアヒム・フライシャー、ステファニー・ガウス。休館日等はHPで要確認。
「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展@銀座メゾンエルメス フォーラム

光や動力を取り込んだキネティック・アートやオプ・アートの先駆的存在で、公共の場における観客の参加を促す作品を展開した視覚芸術探究グループ(GRAV)の設立メンバー、そして、活動初期から継続する色の可能性を探求した幾何学的な抽象画で知られるジュリオ・ル・パルク(1928年アルゼンチン、メンドーサ生まれ)による日本での初めての個展「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展が銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催。またとない機会なのでぜひ足を運ぼう。休館日等はHPで要確認。