『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介(監)

ェスティバルで評価されまくっている濱口竜介監督が、なんと村上春樹の同名短編小説を映画化。本作もつい先日、カンヌ国際映画祭で日本映画としては史上初となる脚本賞を含む4冠に輝いた。妻を亡くした舞台演出家兼俳優の男が、広島の演劇祭で彼の運転手を務めることになった少女との交流を通して、喪失感を癒していく……というのがあらすじではあるが、それでは語りきれない魅力的な細部の宝庫である。特に、頬を伝う目薬のしずくから本当の涙へ、という“イメージのバトン”にはマジでしびれた。8月20日より全国公開。
『闘争と統治 小泉義之政治論集成 II』

小泉義之(著)
舌鋒鋭い筆致で現代をとりまくあらゆる問題の根源をえぐってきた著者の論考集。この本では資本主義、環境問題、人工知能、死刑制度、天皇制などが議論の俎上にあがり、目からウロコが1000枚くらいは落ちること必至の考え方が示される。特に、グレタ・トゥーンベリについて書かれた「天気の大人」は、タイトルや『アベンジャーズ』が取り上げられるあたりも含めて、とても刺激的。¥2,860/月曜社
TOKAS Project Vol. 4 「道と根」@トーキョーアーツアンドスペース本郷

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)とクンストラウム・クロイツベルク/ベタニエンとの交流は今年で10周年。本展では、TOKASのレジデンス・プログラムに参加経験を持つドイツ拠点のアーティストを紹介。参加作家は杉藤良江、武田竜真、シンゴ・ヨシダ、マーティン・エブナー、ヨアヒム・フライシャー、ステファニー・ガウス。休館日等はHPで要確認。
「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展@銀座メゾンエルメス フォーラム

光や動力を取り込んだキネティック・アートやオプ・アートの先駆的存在で、公共の場における観客の参加を促す作品を展開した視覚芸術探究グループ(GRAV)の設立メンバー、そして、活動初期から継続する色の可能性を探求した幾何学的な抽象画で知られるジュリオ・ル・パルク(1928年アルゼンチン、メンドーサ生まれ)による日本での初めての個展「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展が銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催。またとない機会なのでぜひ足を運ぼう。休館日等はHPで要確認。
MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨@東京都現代美術館

今回で17回目を迎える本展は若手アーティストの活動を通じて国内の現代美術の潮流のひとつを紹介するグループ展。未だ収束を見ないパンデミックによって複数の社会問題が顕在化した世界で、国や地域を超えて共鳴する若手アーティストたちの同時代的な表現や問題意識を提示する。参加作家は小杉大介、潘逸舟、マヤ・ワタナベ。
メヒコの衝撃―メキシコ体験は日本の根底を揺さぶる @市原湖畔美術館

メキシコのスペインによる征服から500 年、独立から200 年にあたる今年、市原湖畔美術館が「メヒコの衝撃―メキシコ体験は日本の根底を揺さぶる」を開催。 本展は、日本とメキシコの交流の歴史を繙きながら、メキシコの歴史・風土・人・芸術に衝撃を受け自らの表現に向きあってきた8人のアーティストに焦点を当て、メキシコの何が彼らを惹きつけたのか、そのメキシコ体験を多角的に解き明かす展覧会。