語り:勝地涼
『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』

サリー ルーニー (著), 山崎 まどか (翻訳)
世界的な注目を集める1991年生まれの俊英作家による長篇デビュー作が、満を持して翻訳された。描かれるのは、ダブリンの大学に通うフランシスとそのガールフレンドの一筋縄ではいかないロマンスだ。グレタ・ガーウィグの監督作にも似た雰囲気があるので、その辺が好きな人はぜひ読もう。¥2,530/早川書房
『ムクドリ』セオドア・メルフィ(監)

何が人生を好転させるきっかけになるかはわからない。本作の主人公は、とある事情から喪失感に苛まれる主婦のリリーだ。夫は悲しみを癒やすために旅に出ているし、裏庭に巣を作ったムクドリは彼女に嫌がらせをしてくる。そんな八方塞がりの彼女に手を差し伸べてくれたのが、心理学者から獣医に転向したラリーである。ラリーも過去に何か問題を抱えているらしいが、その友情が彼女の人生を好転させるのだった。監督が『ドリーム』のセオドア・メルフィだけあり、地味になりそうな物語をいい感じに見せてくれる。9月24日よりNetflixにて独占配信。
ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island -あなたの眼はわたしの島-@水戸芸術館

色彩に満ちた世界をユーモアたっぷりに切り取ってみせる映像や、心地よい音楽や空間設計によるヴィデオ・インスタレーションなど、国を越えて幅広い世代の観客を魅了してきたピピロッティ・リストは1980年代からスイスを拠点に活動するアーティスト。本展は、身体、ジェンダー、自然、エコロジーを主題とした作品およそ40点で構成。この時期は臨時休館もあるので遊びに行く前にHPをチェックしよう!
TOKAS Project Vol. 4 「道と根」@トーキョーアーツアンドスペース本郷

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)とクンストラウム・クロイツベルク/ベタニエンとの交流は今年で10周年。本展では、TOKASのレジデンス・プログラムに参加経験を持つドイツ拠点のアーティストを紹介。参加作家は杉藤良江、武田竜真、シンゴ・ヨシダ、マーティン・エブナー、ヨアヒム・フライシャー、ステファニー・ガウス。休館日等はHPで要確認。
「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展@銀座メゾンエルメス フォーラム

光や動力を取り込んだキネティック・アートやオプ・アートの先駆的存在で、公共の場における観客の参加を促す作品を展開した視覚芸術探究グループ(GRAV)の設立メンバー、そして、活動初期から継続する色の可能性を探求した幾何学的な抽象画で知られるジュリオ・ル・パルク(1928年アルゼンチン、メンドーサ生まれ)による日本での初めての個展「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展が銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催。またとない機会なのでぜひ足を運ぼう。休館日等はHPで要確認。
MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨@東京都現代美術館

今回で17回目を迎える本展は若手アーティストの活動を通じて国内の現代美術の潮流のひとつを紹介するグループ展。未だ収束を見ないパンデミックによって複数の社会問題が顕在化した世界で、国や地域を超えて共鳴する若手アーティストたちの同時代的な表現や問題意識を提示する。参加作家は小杉大介、潘逸舟、マヤ・ワタナベ。