カルチャー
【#1】ルートビア概説
執筆: 高田ユウ(THE ROOT BEER JOURNEY)
2022年1月8日
photo & text: Yu Takada(THE ROOT BEER JOURNEY)
edit: Yukako Kazuno

ルートビアというタイトルにつられてこのコラムを読みはじめた方は、ずばりクセのあるものが好きな変わり者か、アメリカや沖縄でその蠱惑的なテイストを体験したことがある人だろうとお察しする。
ルートビアとはアメリカ発祥の伝統的な飲み物で、コーラやドクターペッパーよりもその歴史は古い。ハーブ系炭酸飲料の元祖、ノンアルの神などと影で囁かれている知る人ぞ知る激クセ飲料である。

おもに薬草の根(ルート)や様々なハーブ、スパイスを煮詰めて作るもので、その独特な薬品臭さから日本では畏敬の念を込めて“飲むサロン○ス”、“世界一マズいソフトドリンク”などの異名で呼ばれている。

ルートビアの原型はアメリカ大陸開拓以前にネイティブアメリカン達が様々なハーブを調合し、儀式や薬などに使用していたものに由来する。
その神秘なるハーブのレシピがアメリカ開拓民達に伝承され、ヨーロッパのビール醸造技術と融合。19世紀の終わり頃に民間療法的に親しまれていたものをある薬剤師がビールの代替品として商品化する。その後の禁酒法時代を経てノンアルコールのものが主流となり現在に至る。アメリカの歴史の様々な側面に根深く関わりのある伝統的な飲み物なのだ。
日本においてのルートビアの歴史は、戦後、本土復帰前の沖縄から始まった。ぼくの地元、石垣島でもポピュラーな飲み物として老若男女問わず親しまれている。とはいってもA&Wという1つの銘柄くらいで、沖縄以外の地域では一般的にはあまり流通していない。あるとすれば輸入食品店か、こだわったハンバーガー屋などに置いてあるのをたまに見かけるくらいだ。嗚呼悲しい哉、日本はルートビア後進国なのだ!
実はルートビアは1000種類近くの銘柄が世界中に存在し、毎年新しい銘柄が生まれては消えていく…。クラフトビールと同じように、配合する根のハーブによって全く違った個性を醸しだした、まだ見ぬ地ルートビア達が世界各地で消費されている。

ぼくはそんなNobody knowsでヘンテコな飲みもの、ルートビアが好き過ぎて年間300杯以上飲んでいる。ルートビアの本場である北米を列車で縦断して現地のルートビア文化を取材する旅をしたり、それで得た知見でハーブやスパイスを集めて自家製の樽生ルートビアを製造し、たまにイベントなどに出掛けていって売ったりするTHE ROOT BEER JOURNEYという活動をしている。

そんなことをしていたら、なんの縁かここにコラムを掲載させて頂くことになったので、残り3回もルートビアの魅力を書いていきたいと思う。
ルートビアを知らない人も飲んだことがある人も全てのコラムを読み終えたらぼくと同じルートビア脳になっているに違いない。あのツンと鼻腔を刺激するウィンターグリーンの郁郁たる湿布臭。ネイティブアメリカンの時代から重用されてきた様々なハーブが織り成す神秘のテイスト、グラスに注ぎアイスクリームを浮かべた時の工場廃水に浮かぶ泡のような見た目の面白さは映えるし風情がある。ひとくち飲めばあなたの感性は拡張される。こんなに面白いセンスオブワンダーな飲みものは他に無いのだ!このコラムをきっかけにあなたの人生の物語にルートビアをサーブすることができたなら幸いである。
プロフィール
高田ユウ / THE ROOT BEER JOURNEY
Instagram
https://www.instagram.com/therootbeerjourney/?hl=ja
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