ライフスタイル

【#1】お正月

執筆: 野口絵子

2022年1月11日

photo & text: Eko Noguchi
edit: Yukako kazuno

 私はニュージーランドに留学しています。コロナウイルスの影響で日本に帰れず2年。こちらは、今、真夏。ニュージーランドで2回目の年越しをしています。年越しの一ヶ月前から私はあることを計画していました。それは、日本のお節を自分で作ること! 日本を恋しくなる理由の半分は日本食が食べられないこと。だったら、日本食は自分で作ればいいのだと気づいた私は毎週のように日本食を作り、かなりの料理好きになりました。

 これで日本を恋しくさせる要因の半分は解決。それなら、お節も作ってしまおうということで、人生初のお節づくりに挑戦。お節といっても、自分が好きな品だけをピックアップしました。数ある品の中から選ばれた者たちはこちら! 「黒豆」「田作り」「栗きんとん」。私は、おばあちゃんの栗きんとんが大好きで、お正月はいつも一人で沢山食べていました。あの味が忘れられない! ニュージーランドのさつまいもはマオリ語でクマラと言います。ニュージーランドでは、クマラはよく使われる食材の一つでオレンジ色のさつまいもがかなり主流です。

ですから、私が作った栗きんとんはきれいなオレンジ色。栗きんとんといっても栗の甘露煮はないので、甘栗でそれとなく飾りつけしました。
田作りはすごく簡単にできました。いやーーこれが白米に合うんです!

そしてお次は黒豆。黒豆を作ると電話で母親に話したら「そんなの難しいよー」と言われました。難しいと言われれば言われるほど、やる気がみなぎるもの。

 レシピでは1日黒豆を水につけてから、4時間ほど煮ると書いてありました。水につけるところまでは完璧だった。しかし…。3、4、5、6、7時間煮ても、微妙な硬さがなくならない……なぜだろう。でも、味は美味しい。私のアバウトな性格によりちょっと硬いけど黒豆も成功ということになりました。「黒豆はその年の自分の歳の数を食べる」というけれども、黒豆好きの私には到底足りない。もっと食べたいのだ。今年、私が作った量はなんと黒豆1キロ分。これで、ありったけ食べられました。

夏休みの間にホームステイしている家のホストマザーは日本人の方なので、お雑煮とお餅を用意してくれました。お雑煮、お餅、黒豆、きんとん、田作り。

 これはもう完全に日本の正月です。ホストファミリーの子供たちや、知り合いの方の子供たちも初めてのお節を興味津々に食べてくれて「美味しい」といってくれました。美味しいと言われると嬉しくなり、もっともっと食べて欲しいと思う。小さい頃に、母の手料理を美味しいというと、「全部、絵子が食べていいよ」といつも言ってくれた母の気持ちがよくわかります。

将来、必ず料理上手のお母さんになります!
あんなに沢山黒豆を食べたのだから今年は元気で丈夫な生活を送れることでしょう。

プロフィール

野口絵子

のぐち・えこ | 2004年生まれ。父、野口健とともに幼いころより登山を始める。14歳でネパール・カラパタール峰(5,545m)に登頂。その後、東南アジア最高峰キナバル(4,095m)や、アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(5,895m)などに登頂。「日立 世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターを務める。現在、ニュージーンランドに留学中。