カルチャー

【#2】 人様のノート

吉田昌平さんの1ヶ月限定コラム(全4話)

2021年9月16日

僕は雑誌や本、落ちてる紙物、いわゆるいらなくなった紙をつかってコラージュ技法で作品をつくったりします。なので歩いてる時は落ちているものがちょっと気になります。とりわけ人が書いたメモなど見つけるとなんだかテンションが上がるのです。ただ最近はスマホが普及したので買い物メモみたいなものが落ちているのも少なくなった気がします。

また廃品回収の日は、歩いてるとゴミ収集場が気になってしまいます。なかなか偶然に衝撃的なものに出会う確率は低いです。なので根気よくです。僕の狙い目は少し古い一軒家。昔の書籍や雑誌が捨ててあったり「ご自由にどうぞ」パターンがあるので要チェックなのです。僕は要町に住んでた時があり、まわりは結構古い一軒家が多く、僕が歴代住んだ地区では一番掘り出し物を見つけた地区でした。

ある日、代々木上原を歩いてると、ゴミ収集場にノートの束を見つけました。人様のノートを勝手に見るのはどうなのかと一瞬考えたのですが、やはりどうしても見たくなり隙間から覗いたのでした。そこには、手書きの数式がびっしり。数字など説明書フェチとしてはもう堪らない一品で、申し訳ないと思いつつも持って帰ってコラージュさして頂きました。

って話。こんなことを書いてると、最近は面白いもの拾ってないなと思い、キョロキョロ不足を反省してます。

次回は「黒の黒」と「白の白」のお話。

プロフィール

吉田昌平

よしだ・しょうへい|1985年生まれ。広島県出身。 桑沢デザイン研究所卒業後、デザイン事務所 株式会社ナカムラグラフを経て、2016年 白い立体として独立。雑誌・書籍のデザインや展覧会ビジュアルのアートディレクションなどを中心に活動。 その他に、紙や本を主な素材としたコラージュ作品を数多く制作発表する。作品集に 『 KASABUTA 』(WALL 2013年)、『 Shinjuku(Collage) 』(numabooks 2017年)、『 Trans-Siberian Railway 』(白い立体 2021年)

http://www.shiroi-rittai.com/