TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
CULTURE

【#4】チンパンジー

2021.08.03(Tue)

北海道は連日の猛暑です。一体どうなることやら?ただ救いなのは湿度が低いこと、最低気温は20度くらいまで下がることでしょうか。飼育事務所は鉄筋コンクリートで断熱には有利ですがエアコンはありません。それでも事務所内、木陰では汗は引きます。同じ気温でも本州のここはサウナの中か?みたいな状況よりはずいぶんましかなと感じます。それにしても経験したことがない夏になっています。まだ少し先ですがオリンピックの札幌でのマラソンは大丈夫かなと心配になったりします。

 さてオスとメスの関係の最後はやはりヒト(ホモサピエンス)です。私たちもサルの仲間です。実に様々な群れの形態があるのですが、最終目標はいかに子どもの生存確率を高めるのか、つまり命のバトンを繋ぎ続けるのかと言うことになります。オスとメスの関係も実に多様なのですが、話が長くなるので今回は見た目外観の話にします。

チンパンジーと比べてみましょう。チンパンジーのメスは一月に一回排卵があり出血生理もあります。ヒトとほぼ同じです。チンパンジーは排卵の時期が発情期でオスと交尾をします。この時期のメスは陰部が腫れあがります。お客さんが「あのチンパンジーとんでもない痔なんじゃない?かわいそう」とか言っている声が聞こえてくるくらい一度見たら忘れられない程に腫れ上がります。これが異性オスへのセックスアピールなのです。基本手足を地面につけて歩くので、オスの目の前に腫れた陰部が目に入ってきます。陰部が腫れ始めるとオスはここでは書くことができないような行動でメスの発情を確かめます。チンパンジーの性行為は繁殖のために限られるのでこの時期だけの特別なアピールなのですが、さてヒトは?性行為が繁殖のためだけの行為ではなくなりましたね。常時異性の気を引きつけることを基本とした社会形態を持つように独特な進化をしてきました。ここからはあくまでも生物学的な身体的な特徴として書かせてもらいます。二本足で立つようになりお尻は目線から外れました。目の前に見えるのは上半身です。さてチンパンジーの顔を思い浮かべてみて下さい。私たちと決定的に違うのはどこ?どうですか?そう唇です。私たちヒトは唇が肌の色よりも赤みを帯び分厚くなっています。特に女性は「紅を引く」この言葉に象徴されるように唇で女性らしさを表現するようになりました。もう一点少し視野を広げると胸です。授乳もしていないのに乳房が腫れているのもヒトの特徴です。これも説明不要かと。チンパンジーとヒトは遺伝的にとても近い仲間です。もしこれを読んでいるあなたがヒトのオスでよりチンパンジー的な感覚が強ければ、異性のお尻により目が向くかもしれません。

もう一つチンパンジーとの違いは目です。これは他の哺乳類との違いと言ってもいいくらいなのですが、ヒトの目は白目が目立ちます。目は口ほどに物を言う、まさにその通りなのですが、動物は基本的に感情や目的を読まれないようにします。食物連鎖の中で生きる生き物にとって、特にどこを見ているかを相手に読まれることは生死に関わります。命に関わるではないですが、スポーツ競技の世界ではとても重要なのかなと思います。オリンピックの卓球を見ていて、勝負をかけた目線の駆け引きを感じますよね。

 今回で筆を置くことになりますが、まだまだ暑い夏、そして残念ながらまだしばらくはコロナウイルスに翻弄される日々が続きそうです。皆様くれぐれもお体を大切にご自愛ください。

プロフィール

旭山動物園

昭和42年、日本最北の動物園として開園。市外や外国からの観光客も合わせて毎年140万人前後の入園者数を誇る。国内動物園で初めて繁殖に成功した動物園に送られる「繁殖賞」を、ホッキョクグマをはじめ、20回受賞している。

公式instagram公式twitterはこちら。旭山動物園の動物を24時間ライブ視聴できる動画配信サービスも提供中。
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