【#2】死者の日。
2021.07.20(Tue)
text: Anna Iriyama
今回は私の大好きなメキシコの伝統のひとつを紹介します。
みなさんがメキシコと聞いて思い描くものはなんですか?私がこの国に来た頃は「テキーラ」「サボテン」など典型的なものや「治安が悪い」などネガティブなイメージが強かったのですが、最近は日本でも「死者の日」が注目されていると思います。
死者の日とは。

ざっくりいうと日本のお盆のような期間ですが、メキシコではとても華やかに祝われます。
お墓参りに行くのは日本と同じですが、持っていくのはお花だけではありません。風船などの飾り付け、ご先祖が好きだった物、そして私が一番衝撃を受けたのは、お墓にマリアッチという楽団を呼んで音楽を聴いたり、ご飯を食べたりしながら、故人との時間を楽しむということです。日本では想像できないですよね…



そして、死者の日が近づくと街中がマリーゴールドやカラフルな装飾で彩られます。様々な街や村でパレードが行われるのですが、そこはカトリーナと呼ばれる骸骨のメイクや仮装をしている人で溢れかえっています。もちろん私も、メイクをしてもらいパレードに参加したことがあります。カトリーナメイク、どうですか?

パレード会場でメイクをしてもらえるので誰でも簡単にカトリーナになることができ、エネルギッシュでメキシコ愛を感じる楽しいイベントに心が躍りました。
そして私にとってどんな時にも欠かせないのが、ご飯。
「チレス・エン・ノガダ」という私の中で三本の指に入るお気に入りのメキシコ料理は、この時期にしか食べられない貴重な一皿。

ザクロの実とクルミのクリームの下には、炒めた挽肉や野菜・りんごなどを巨大ピーマンのような見た目の唐辛子に詰めたものが隠れています。
唐辛子=緑クリーム=白ザクロ=赤で、メキシコの国旗の色なんですって。たくさんの食材や香辛料を使っているので作るのにとても時間がかかるそうです。
ああ。想像するだけでよだれが。
死者の日は11月1日〜2日。メキシコ文化を代表するこの日は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されているんです。明るくにぎやかに故人を迎え入れ、楽しい時間を過ごす。家族を思い出すという根底にあるものは日本と同じですが、陽気な雰囲気漂うメキシコならでの祝い方もとても興味深く素敵ですよね。
それでは、また。