ライフスタイル
手土産は控えめに。
2025年5月24日
photo: Koh Akazawa
text: Eri Machida
2025年6月 938号初出
どうせならみんながあっと驚くようなものを。
そう思っているうちは、どうやら子供のようだ。
気の利いた手土産選びは難しい。せっかくなら喜んでほしいけど、迷惑にはなりたくない。自宅に人を招くことが多く、贈ることももらうことも多い料理家の麻生要一郎さんに手土産の心得を伺った。
「まず、承認欲求がセットになっていないものがいいですね。褒めなくていいもの。もらったのに使えないと申し訳ないので、奇をてらったものは選びません」
なるほど、珍しいもので驚かせようと反応を期待するのではなく、万人受けするもの、王道の老舗のお菓子などを選ぶのがスマートということだ。紹介してくれた麻生さんの定番リストを見ても、贈った相手に「負担にならない」ことを、いかに大事にしているかがよく伝わる。
今までもらった数多の贈り物の中で印象に残っているものを伺うと、答えはまさかの「キャベツ太郎」(!)。「一番好きなんです、と持ってきた方がいてね。大好きなものを共有するって贈り物の原点のような感じがします」
数百円のスナック菓子が、どんなものより心を動かすなんて! 最後に麻生さんは、好きなものを覚えるなど、相手に合わせた喜ばせ方を知ることが肝心、と教えてくれた。手土産の達人になるため、まず観察力を高めるところから始めたい。
麻生さんが選ぶ9つの手土産

みんなが知らないあの店でも。
知る人ぞ知る店で買った手土産なら話も広がる。成城学園前の『成城凮月堂』は和菓子も洋菓子も揃って何かと便利。可愛いフォルムのオリジナルモンブラン(¥562)はロングセラー。マロン、白あん、ホワイトチョコを合わせたクリームからは和の要素も感じる。小さな砧だんご(¥227)も愛らしい。(成城凮月堂☎03·3482·0551)

詰め合わせなら、好みの味がきっと箱の中に。
いくつかの種類が数枚ずつ入ったアソートなら好みのものがあるはず。麻生さんが長年頼りにする〈銀座ウエスト〉は、上質な素材で職人が手作業で一つ一つ作っており、信頼しかない。歴史ある店には愛され続ける理由がきちんとあるのだ。ドライケーキ詰め合わせ15袋入り¥3,672(銀座ウエスト本店☎03·3571·1554)

サイズがちょうどいい老舗の最中。
目上の人への手土産で困ったときは老舗がベター。袋や包装紙を一目見ただけでどこのものかわかると安心感がある。日持ちする最中は手土産の定番で、いろいろ試した結果、行き着いたのは〈とらや〉。食べやすいサイズが気に入っているそう。桜、梅、菊をかたどっていて縁起もいい。最中6個入り¥1,620(とらや☎0120·45·4121)

アレルギーにも配慮する。
手土産を渡す際はアレルギーの有無も気にしよう。小麦を使わないグルテンフリーの焼き菓子も知っておきたい。国産米粉で作られたクッキー缶は、プレーン、ショコラ、サレ(塩)の3種が隙間なく詰まっており眼福。ヴィーガンクッキー缶¥4,600(パレスホテル東京 ペストリーショップ「スイーツ&デリ」☎03·3211·5315)

フルーツ専門店に立ち寄って友人宅へ。
冷蔵品を持っていくときはなるべく冷蔵庫のスペースを取らないものを。同じ3000円分でもケーキより果物のほうが贅沢なものを買えるのでフルーツ専門店はおすすめだ。柑橘をくりぬいたゼリーも嵩張らないし、さっぱりと食べられるのがありがたい。レモンゼリー¥432(サン・フルーツ 東京ミッドタウン店☎03·5647·8388)

とにかく自分の好物という選択肢も。
好きな食べ物をもらうと相手が心を開いている感じがする。距離を縮めたいときは大好物を持っていくのも手だ。麻生さんは〈千疋屋総本店〉のバナナオムレットと季節限定のマロンプリンに目がない。ホイップクリームたっぷりの背徳感がたまらないね。バナナオムレット¥540(千疋屋総本店 日本橋本店☎03·3241·0877)

お祝いには、飾る習慣のない人にもお花を。
普段飾らない人にも家に花がある豊かさを知ってもらえるかもしれないし、興味がなくても数日たてば枯れるので重荷にならない。麻生さんは自宅用も人に渡すときも1、2種類の花をまとめて買うことが多く、肩肘張っていないところが粋だ。下落合に昨年10月オープンした花と花器を扱う2階建ての花屋『Hljóð』は行きつけ。

返事に困らないささやかな手紙をまめに。
取材先に感謝状、自著を送る際に一筆箋を添えるなど、筆まめな麻生さんが気をつけているのは文章量。長すぎると「返事を出さないと」とプレッシャーに。便箋1枚に収めよう。左/鳩たより(たて)¥495(鳩居堂 銀座本店☎03·3571·4429) 右/蛇腹便箋 瓢箪レターセット¥660(榛原 日本橋本店☎03·3272·3801)

ホームパーティには気の利いたエチケット。
差し入れの定番ワインなら、エチケットにちょっとした物語があるものを選ぶという麻生さん。お気に入りは皆川明さんがエチケットをデザインした山形県〈タケダワイナリー〉のサン・スフル。酸化防止剤不使用のスパークリングワインだ。〈ミナ ペルホネン〉による直営店『call』で販売中。¥2,640(call☎03·6825·3733)
プロフィール

麻生要一郎
あそう・よういちろう︱料理家。本誌連載「いい男になるために」でお馴染み。
執筆、料理と多方面で活躍し、「職業がわからない」と語る麻生さんが憧れるのは寅さんのような子供から見て自由な大人。
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