TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】海外ラベルへの憧れ

執筆:三枝浩

2025年5月24日

私がこのルイ・ヴィトン展で期待したのが、このトランクでした。
あるかな、、という思いで館内を探してみました。
これを見つけ、次の写真のように、かつてのラベルの綺麗な姿を見せたかったんです。

以前、奈良ホテルへパネルを提供する準備をしていたところ、奈良ホテルからルイ・ヴィトンのカタログに載るトランクの画像を見せてもらいました。1885年製のトランクでした。
よくみると、かすかに奈良ホテルが貼ってあるのが判りました。見ると、日本では、東京や神戸、箱根にも寄ったようで、中国、インド、ベトナム等を旅し、日本には1910年代に来たことがわかります。

このトランクを期待していたのは、写真に写らない側の部分を見たかったからです。然し残念ながら、見ての通り、上は見えたけど、反対側は見ることができませんでした。
経年でかすれてしまっても、大抵は判るだけに、他のホテルのものも見てみたかった。

そんな思いでこれを見たのも私だけだったのかもしれませんね。
いずれにせよ、これだけ大きなトランクを持って旅した人はどんな人だったのか、どんな旅をして楽しんできたのか、知りたいものです。

海外のラベルに関しては、この本を得ました。

「世界を巡る旅」。

2012年に発行されたルイ・ヴィトンの孫のガストンがホテルラベルと出会い、集めたラベルが一部紹介されている500ページの厚さのものです。ラベルのレプリカもついたルイ・ヴィトンの宣伝材料の一部の位置づけでした。

本はフランシスカ・マッテオリ女史がガストンの功績を記述し、彼のコレクションと当時の欧州の旅先の写真などを配置し、世界的なコレクター、ジョアオ・マヌエル・ミモーゾ氏のホテルラベルの歴史を記述した文を紹介した内容だけに、海外のラベルのことを知るには貴重なものといえます。

1880年代から1930年代くらいまでの間がホテルラベルの全盛といえるでしょう。その間に、多くの富裕層が欧州の中を旅し、その為にホテルは素敵なラベルを作り、トランクに貼るようになっていました。
多くのデザイナーが関わり作り上げたラベル。ここでは、そうしたジャンルのものを分けて紹介することにします。なかなかこうした分類でのラベルは見る機会が無いでしょう。

インフォメーション

三枝浩

さえぐさ・ひろし|事務職の、デザイン作業もする一般人。
ラベルに出会って、その美しさに惹かれ、集め、ホテルに関して調べるようになりましたが、趣味はほかにも。人生色々やらないといけませんね。
ともかくも、失われた、忘れ去られたものを掘り起こさないといけませんね。

Official Website
http://www.hotel-label.com/