TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#2】集めるだけではなく、形にすること

執筆:三枝浩

2025年5月17日

2009年3月に軽井沢万平ホテルへ。
2010年10月にホテルニューグランド、2010年9月に奈良ホテルへパネルを提供しました。

日本のホテルのラベルを、、という収集は、結果的に里帰りの作業だったのかもしれません。
外国人しか泊まれなかったホテルもあったり、戦争などや災害の時代を経て、国内でも多くが消失されてしまったのか、日本国内からはレアなラベルは殆ど見ることはありませんでしたね。

そのような作業で、歴史あるホテルなども含め、日本の多くのラベルを得て、歴史あるホテルには、多くのラベルを集め、整理し、パネルを無償提供する機会も得ました。

あなたのホテルにはこんなに素敵なラベルがあったんですね、と。

こういう作業で金銭を求めるようなこともする事が当たり前と考えるかもしれませんが、私にとっては、そういう事ではなく、決して長い年月ではないものの、こういう素敵なラベルがあったんだ、だから、それまでの歴史を刻んだラベル達を甦らせたいと思っていたんです。

もし、長い年月、同じホテルに泊まり続け、これらを得て、ホテルに自慢するような宿泊客が居たら面白いものですが、残念ながら、その期間も長く、戦争などの歴史もあり、戦後は接収されてしまった時期もあったから、運よく集めて並べたものを全て得ることはできなかったでしょうね。

全て原寸で配置して提供しました。
運よく、当時のままの姿を残せたもので、それらの色鮮やかな姿を見て、楽しんでもらえたらと考えていました。

だから、HPのサイトでは、全ては掲載していません。大きさなどが正確に伝えられないからです。
そして、自ら冊子として、同時にえた絵葉書など、歴史を記述したものを残す、それがこうして続けてきた作業の目的なのかもしれませんね。

そうした目的があったからか、長い年月の中でもたった1枚しか出会えていないラベルも多く、それらを通じて、今は無きホテルの当時の鮮やかな姿を通じて、確かに存在した証しとしたいと思うのです。
HPのサイトは、こんなホテルがあったんだ、こんなラベルが(一部ですが)あったんだと知ってもらう、カタログ的存在でいいと思っています。

さて、前回に言った、ある質問でホテルラベルのことのイメージが沸くとは何だったでしょうか。

答えは「ほら、ルイ・ヴィトンのトランクに何か貼っているでしょ。」
なんです。

2016年5月に麹町でルイ・ヴィトン展がやっていましたが、行く機会はありました?
海外のホテルラベルに関してはルイ・ヴィトンを知るべきでしょうね。

プロフィール

三枝浩

さえぐさ・ひろし|事務職の、デザイン作業もする一般人。
ラベルに出会って、その美しさに惹かれ、集め、ホテルに関して調べるようになりましたが、趣味はほかにも。人生色々やらないといけませんね。
ともかくも、失われた、忘れ去られたものを掘り起こさないといけませんね。

Official Website
http://www.hotel-label.com/