TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
嫌いだけど大好きなマイケル・ジョーダン。
執筆:Bose(スチャダラパー)
2025年2月26日
僕、マイケル・ジョーダンのことは、嫌いだけど大好きなんですよ(笑)。
エア ジョーダンも自分では買ったことがないんです。
それはスニーカーに限らず、なんでも王道からちょっとハズすほうがかっこいいと思ってしまう、ひねくれた性格のせいなんだけど。
だって、ジョーダンって選手時代もエア ジョーダンもめちゃくちゃ王道の存在じゃないですか。
僕は中学の頃にバスケ部に入ったんですが、もちろん当時は『SLAM DUNK』連載のずっと前で、バスケットボール自体がめちゃくちゃマイナースポーツだったから。
先輩とかもゆるかったし、そういう王道じゃない感じが自分にとっては楽しそうだなと思って、始めたんですよ。
野球部とかと違って坊主にしなくてもよかったしね。
ジョーダンがシカゴ・ブルズに入団してNBAデビューするのはその最中の84年ですが、もちろんネットなんて普及してない当時は、テレビの画面でもNBAの試合なんてなかなか観ることが出来ませんでした。
だから、日本では、選手としてのジョーダンよりも先に、エア ジョーダンが流行った気がします。
初めてジョーダン 1を見たときは結構衝撃で、エアってのもかっこよかったし、赤黒白って色も好きでした。
僕は87年くらいに上京して、渋谷のデザイン学校に入学するんですけど、その頃はジョーダン 2くらいが、ちょっと尖った洋服屋さんとかに並んでいた記憶があります。
でも、かっこいいとは思いつつ、ここまでど真ん中で流行っているものを履くのは、自分の感覚的になんとなく違う気がしたんですよね。
まぁ、高くて買えなかったというのもあるけど(笑)。
当時はHIP HOPに夢中になり始めた頃で、ビースティー・ボーイズとかRUN DMCとか聴いていたっていうのもあって、別のブランドのスニーカーを選んでいました(笑)。
その後、〈ナイキ〉のスニーカーも好きになるけど、やっぱりジョーダンっていうよりは、ちょっと外れてる、あんま人が履いてないようなハイテクなやつを選んだりしていましたね。
91年にブルズがリーグ初優勝して以降じゃないかな、昔の映像のビデオなんかが見られるようになって、日本にもジョーダンのプレイの凄さが知られるようになるのは。
そこから僕も、遡って歴史を知っていくんですが、それこそビースティーとか、好きなラッパーがみんなニックスのファンだったというのもあるけど、僕がファンになったのは、ブルズじゃなくてニューヨーク・ニックスなんですよ。
ブルズっていうのはそのニックスを倒す敵のチーム。
実際、当時のニックスは毎回ジョーダンにやられてたから、マディソン・スクエア・ガーデンとかで60点位取るジョーダンに、ニックスファンとして思うわけじゃないですか。「あいつめ……」って(笑)。
そうやってジョーダンのことをどんどん嫌いになっていくんだけど、ジョーダンの試合ってやっぱ見たくなるんですよ。
すごいことが起こるから。
空中で止まってるように見えるダンクっていうので有名だけど、身長が2メートルない人であんなことができるプレイヤーなんてそれまでいなかった。
ブルズ自体、ジョーダンが来るまでは強いチームだったわけでもないし、ああいうシュッとしたスキンヘッドの黒人選手がNBAで活躍してかっこいいって前例を作ったのもジョーダン。
彼のライバルであるニックスのパトリック・ユーイングとの対比で見ればわかるんだけど、こっちはユーイングの方がかっこいいと思っていたわけだし、そもそも坊主にしなくていいからバスケを始めたんだから(笑)。
つまりジョーダンっていうのは全ての常識を変えて、新しい王道を作っちゃった人なんですよ。
だから、ジョーダンのことは嫌いだけど大好きだし、ジョーダンについてはとっても詳しい。
っていうか、NBAを好きになったら、どこのチームを応援していてもそうならざるをえないんですよ。
ジョーダンの歴史っていうのは、ある時期のNBAの歴史の真ん中と重なっちゃうから。
その後も、その歴史を崩す存在となる、レブロン・ジェームスとかを応援したりもするわけだけだけど、「ジョーダンとレブロンのどっちがGOATなのか?」って論争が起これば、「やっぱりあの頃のジョーダンには誰も勝てないかも」って結論になったり(笑)。
ジョーダンっていうのはいつまで経っても揺るがない、完全な中心ですよね。
今の若い人の中にはそういうジョーダンの歴史とかを知らずに、エア ジョーダンを履いている人もいるのかもしれないけど、せっかくなら履くなら、選手としてのジョーダンのことも知っておくとより愛着が湧くと思います。
それを見て僕は「新しいモデル出てるけどジョーダン本人はとっくにバスケしてないんだけどね」って小言を言ったりしてます(笑)。

2010年にスチャダラパーのデビュー20周年を記念し、メンバーとスタッフ用に制作したエア フォース 1。
ヒールにはスチャダラパーのロゴマークがレーザーで刻印されている。
ここでもエア ジョーダンシリーズを選ばないところに、Boseさんのジョーダンに対する“愛憎“が伺える。
プロフィール
Bose
ぼーず|1969年、岡山県生まれ。スチャダラパーのMC担当。1990年、アルバム「スチャダラ大作戦」でデビュー。
35周年を迎える2025年5月に、『スチャダラパースペクティブ ~ここから彼方へ~』を東京、大阪で開催する。
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