TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#2】音散歩① 鶯谷〜上野編

執筆:金光佑実

2025年1月21日

こんにちは、金光佑実です。
第2回は、実際に街歩きをしながらの音採取です。

どの街を歩くかとても悩んだのですが、個人的に思い入れの深い土地を選んでみました。
お墓参りで、小さなころから幾度となく足を運んだ台東区上野。
思い出補正抜きにしても独特の魅力に溢れたこの街を、改めて音にフォーカスを当てて歩いてみることにしました。
音声も合わせて、想像を膨らましつつ楽しんでいただければ幸いです。

※環境音の性質上、ものによっては急な音量差が発生するため、スピーカーでの試聴をおすすめします。イヤホンでお聞きの際は、お耳のため音量にご注意ください。

出発地点「鶯谷駅」にて、相棒のハンディレコーダー。

ホームからエスカレーター、改札口までの音風景をダイジェストでどうぞ。いずれは懐かしくなるであろう、駅ならではのサイン音が多数。

この日は街中で謎解きゲームでも開催されていたのか?
いつもはあまり見かけない集団の若い人たちが、A4サイズの紙と睨めっこしていた。

お墓参りの音風景、いいですよね。この日は穏やかだったため録れていませんが、風の強い日にお塔婆が揺れる音も堪りません。墓地でハンディレコーダーを回すのは少し気が引けたため、ここはiphoneのボイスメモで録音。

先祖に挨拶を済ませ、東京国立博物館の脇を通って公園内へ。一気に人の声が多くなります。芸術の街ならでは?いつも公園内では誰かが演奏していたり、大道芸などの催し物も。

この日は広場の対岸でエスニックなリズムとサックスの演奏がそれぞれ。往来がなかなか楽しい。

せっかくなのでそのまま動物園へ。意外にも入園後、最初に意識の向いた音は“ベビーカー”でした。入り口でベビーカーの貸し出しをしていて、そこで借りる人も多いのかもしれない。

チケット売り場から入園直後、いくつかのベビーカーと思しき……?音もかいつまんでお届け。

虎のエリアでは多くの鳥の鳴き声が気になるけれど、一体どこにいるのかが見えない。流れ落ちる滝のような水音とあいまって、よりジャングルみが強調されていました。

檻の外にも野生の鳥たちが……?見えない者の声。

所々、ゾーンを象徴する動物の木彫りのマーク?があって、叩くといい音がしそう。撫でて強度を確認しつつ、軽〜く指の第二関節でこづいてみると、しっかり身の詰まった木、という感じで、そうでもなかったです。

いい音しそうな雰囲気、ありませんか?

他よりすこし賑やかな人だかりを見つけ向かうと、コンドルが元気にじゃれあっていました。

まず最初に、音声だけでどうぞ(iphoneカメラの音声)。どちらかというと、思わず声をあげる人間たちの様子にフォーカスが合って聞こえる。

次は映像ありで。視覚情報があると、聞こえてくるものも変わりませんか?

夜の森ゾーンでは、どこかのスピーカーから嘘の鈴虫が鳴いていました。

こういう演出を考えるの、たのしそう……。

ついつい楽しくてお昼を食べるのを忘れており、ふらふらと池之端門から出ると、先ほどとは打って変わって殺伐とした雰囲気。車の音に重なって何やらゴーっと、ボイラー装置のような音が……。

この音が、動物園内には聞こえてこないのがすごい。耳が向いてないだけ?

少し歩くとちゃんと説明がありました。

水の濾過循環装置でした。

お墓から公園、動物園を経て、徐々にきこえる音の出所を探したり、いい音がしそうなものに目がいったり……そういった耳優位の感覚が強くなってきました。

次回はこの続き、【上野〜御徒町編】でお送りしたいと思います。

プロフィール

金光佑実

かねみつ・ゆうみ|1991年、東京都生まれ。音楽家として様々なジャンルの楽曲制作を行う。ブランドムービーやCM、またTV番組への楽曲提供(テレビ東京『シナぷしゅ』、TBS『バナナサンド』他)、チョコレートプラネット、ニューヨークなどお笑い芸人のコント作品や単独ライブの楽曲を手がけることも多い。贅沢貧乏の舞台作品では多チャンネルでの制作にも取り組み、街や家の音採取から作曲の糸口を得るなど、出しどころに合わせた楽曲作りを日々たのしんでいる。

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