From Editors
いち映画ファンとして胸をときめかせながら作りました。
NO.932
2024年11月8日
早いもので今年もあと1ヶ月。そろそろ今年観た映画の年間ベスト10なんかを考え始めるタイミングに差し掛かってきた頃合いかと思われます。久方ぶりの続編やフレッシュな新作、名作リバイバル上映など、様々な作品に触れる機会が多かった2024年ですが、皆さんにとって素敵な出合いはあったでしょうか? かくいう私もすでに300本ほど劇場鑑賞してきましたし、年末まで時間の許す限り映画館通いを続けていけたらと思っています。
さて、毎年恒例となったポパイの映画特集。これまでは永遠の名作をあの手この手で取り上げてきましたが、今回はちょっと趣向を変えて、「これから」にフォーカスしてみました。今や毎日のようにSNSで世界各地から新作の情報がリアルタイムで舞い込んでくる時代。フレッシュな話題が多いのは嬉しいですが、情報過多ゆえに、より一層「さて、何を観ようか?」が決めにくくなっているのも実だと思います。そこで、2025年以降を見据えた期待作や今を賑わせている話題を詰め込んだ一冊を作ってみました。編集部で気になっているホットな話題を中心に、それに向けた予習になればと思って、AからZまでのコラムにまとめた「これからの映画を楽しむためのABC」が特集の中心となります。また、僕らが注目したい監督に会って話を聞いたり、気になる人に「好きな映画ってなんですか?」というシンプルな質問をぶつけてみたり、映画好きの著名人に今年観た中で好きだった映画を教えてもらったり。そうそう、映画の劇中に出てくる時計をその映画をイメージしたビジュアルで紹介する時計特集もあります。登場人物が身につけているものって気になりますよね。
僕自身、この特集を作る上で様々な映画人にお会いし話を聞いてきましたが、なかでも印象深かったのは、映画編集者の大川景子さんの取材。個人的にも今年観て好きだった三宅唱監督の『夜明けのすべて』や五十嵐耕平監督の『SUPER HAPPY FOREVER』の編集を手掛けられた大川さんの自宅に伺って話を聞かせていただいたのは思い出深い体験でした。数々の名作が生まれたご自宅の「大川編集室」にも入らせていただいたし、大川さんの人柄も素敵で映画を捉える視点の鋭さにも感服しきりでした。映画というと、監督やキャストにばかり目がいきがちですが、裏方の方々のセンスや技術があってこその総合芸術なのだと、大川さんの取材を通じて改めて感じた次第です。単純に普段お会いできないような方と、映画の話をするのが楽しかったというのもありますが。
あなたにとって大切な映画はきっとあなたにしかわからない。FilmarksやRotten Tomatoesのスコアがそれを決めるわけではありません。まだ誰の評価も決まっていない「これからの映画」。この一冊を通じて、来年の狙いを定め、あなただけのとっておきを見つけるきっかけになってもらえたら幸いです。
無限の彼方へ、さあ行くぞ!
(本誌担当編集)角田貴宏
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